国際海洋情報(2022年2月15日号)

1.国連ソマリア海賊コンタクトグループが役割と名称を変更

「ソマリア沖海賊コンタクトグループ(CGPCS)」は、ソマリア沖の海賊活動を抑止するため、国連決議を受け、政治・軍事・海運業界・NGO各分野の対策を調整するために80以上の政府・NGO・海運会社が集まって2009年に創設された。本年1月にCGPCSは第24回総会をケニアで開催したが、ソマリア沖の海賊活動が近年ほぼ抑止されているのを受けて、CGPCSを解散するか、西インド洋で増加するIUU漁業や麻薬の密輸といった新たな課題に対処するための組織に改組するか話し合われ、グループの名称を「西インド洋における海上不法行為に関するコンタクトグループ」に改称して、IUU漁業や麻薬の密輸といった新たな脅威に対処する組織に改組することが合意された。

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The Maritime Executive (02/15)

2.米国とエジプトが地球環境問題で共同WGを設置

米国の気候変動問題担当のケリー特使は、2月21日カイロを訪問し、本年COP27を主催するエジプトとの間で、同会議の準備のための共同WGを立ち上げた。同特使は、ウクライナ問題をはじめとする国際的な政治的緊張の高まりとかかわりなく、国際的な脅威である気候変動問題に取り組む必要があると記者会見で語った。同特使は、カイロの米国大学でも講演し、世界の各国が2030年までにCO₂の排出量を45%削減することが今世紀半ばまでに炭素中立を実現するために重要だと発言した。記者会見で同特使は、今年の目標はCOP26で各国が約束したこと全てを実施することと、地球の気温上昇を1.5℃以内に抑制するという高い目標を掲げる国を増やすことだと語った。同日、欧州理事会は、発展途上国における適応対策に対する十分な資金的な支援の欠如は、グリーンで持続可能な成長を阻害しており、先進国が年間1000億ドルの資金を途上国に支援するという約束を実行する必要があるとの声明を発表した。

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AP (02/15)


3.欧州委員会が原子力と天然ガスをEU Taxonomy上持続可能と認める基準を発表

2020年7月12日に発効したEU Taxonomy Regulation (TR) 2020/852は、環境面で持続可能性がある経済活動と認められるための条件を設定したが、TRを補足して、詳細な条件を定めるDelegated Regulation (DR) 2021/2139が昨年作成されたものの、その時点では原子力と天然ガスをTR上どのように位置づけるか決定していなかったので、両エネルギーについては、DRの対象に含まれていなかった。その後、欧州委員会として提案する基準が固まったので、2月2日、両エネルギーに関する基準を追加するComplementary Climate Delegated Actが発表され、今後4か月間、欧州議会と欧州理事会で検討されることとなる。詳細な条件は原文参照。

原文

Herbert Smith Freehills (02/15)


4.ReCAAP:シンガポール海峡における窃盗事件について警告

警告の概要は以下のとおり。①2022年に入ってから現在までに10件(1件の未遂事件を含む)の窃盗事件が、シンガポール海峡航行中の船舶から報告された。②10件中、7件は分離通航方式(TSS)の東航航路で、1件は西航航路で、1件は事前警戒水域で、1件はTSS域外で発生した。③東航航路で発生した7件の事件のうち、4件はインドネシアのバタム島のNongsa Pointで2月8/16/17/18日に発生した。3件はインドネシアのビンタン島のTanjung Pergamで1月8日と12月12日に発生した。④10件の事件のうち、2件では賊はナイフで武装していたが、すべての事件において、乗組員を脅迫・暴行するためにナイフは使用されず、乗組員が負傷した事件はなかった。⑤10件中、8件では何も盗まれていない。⑥賊は逮捕されていないことから、特にNongosa Pointで同様の事件が続発する可能性があり、警戒が必要である。

原文

ReCAAP (02/15)


国内ニュース

1.JERA: 燃料アンモニアの調達に向けた国際競争入札の実施について
原文

2月18日、JERA


2.商船三井:東洋建設と洋上風力発電関連作業船の協業検討に関する覚書を締結
原文

2月21日、商船三井


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