国際海洋情報(2022年2月8日号)
1.One Ocean Summit:米仏が海洋プラスチックごみ削減で共同声明
標記共同声明の概要は以下のとおり。①米仏両国は海洋プラスチックごみ問題について国際的に取り組まなくてはいけない課題であり、プラスチックの発生源における取組が重要であることを認識し、来る第5回国連環境総会(UNEA)において、プラスチック問題と循環経済に関する新たな国際合意について協議を開始することを支持する。②合意は法的拘束力のあるものも法的拘束力のないものも広く含み、参加国にプラスチック問題に関する野心的な国家行動計画を作成・実行することを求めるとともに、国家の活動を補完するため、プラスチック問題のすべての関係者が、プラスチック問題に熱心に取り組むことを奨励する。③米仏両国は、他の諸国とも協力して、UNEAにおいて、以上のような国際合意の形成が成功裏に達成されるよう期待する。
原文
White House (02/08)
2.One Ocean Summit:「海洋に関するブレスト誓約」
世界の過半数のEEZを所管する100を超える諸国の代表と、国連事務総長・UNESCO/IMOの事務局長などが参加して、「海洋に関するブレスト誓約(Brest Commitments for the Oceans)」が採択されたところその概要は以下のとおり。①生物多様性と海洋資源の保全:世界の陸上と海洋の30%以上を保護区に指定することを目指すHigh Ambition Coalition for Nature and Peopleに新たに30か国以上が参加し、合計参加国数が84か国となる。②海運から派生する環境被害の削減:船舶から排出される海中騒音・大気汚染物質・GHG・水生侵略性生物・残滓・油・船舶リサイクルの8分野について、22の欧州の船主が新たなGreen Marine Europeラベルを作成することに合意。③海洋プラスチックごみの削減:欧州復興開発銀行・欧州投資銀行・仏/独/伊/西の開発銀行が、海洋プラスチックごみを減らすためのClean Oceans Initiativeに対して、共同で2025年までに40億ユーロ(5280億円)を支援。
原文
仏大統領府 (02/08)
3.T&E:2030年までにEUの船舶の1/4がLNG燃料船に
昨年欧州委員会が提案したEUの船舶燃料を規制するFuelEU Maritimeは、船舶の運航事業者に対して、船舶燃料のlifecycle carbon footprint(船舶における燃焼時だけではなく、燃料の生産や輸送といったライフサイクルの過程全体で排出されるGHGを評価の対象とする考え方)の削減を求め、削減目標は年を追うごとに段階的に引き上げることによって、徐々に石油をベースにした燃料から持続可能燃料への転換を促進することを目的としている。しかし、Transport & Environmentが発表した報告書によれば、持続可能燃料への転換ではなく、2040年代まで使用が認められ、脱炭素燃料よりはるかに安いLNG燃料船への転換が進み、2030年までにEU全体の船舶の23%がLNG燃料船となり、欧州委員会の提案のままでは、持続可能な水素や水素の派生燃料であるe-fuelsへの転換が、2040年代まで進まないことが分かった。2050年までに海運の脱炭素化を達成するためには、2030年までにe-fuelsのシェアを6%まで引き上げる必要があるとT&Eは提言している。
原文
Transport & Environment (02/08)
4.Our Ocean Summit:2028年までに主要港湾で陸上電源を整備することを宣言
14か国の港湾担当大臣と、世界の主要港湾の代表と、欧州投資銀行は、2028年までに、特にクルーズ船・コンテナ船岸壁において、陸上電力の供給施設を整備することを、2月10日、Our Ocean Summitで共同宣言した。参加港湾は、最も環境性能に優れた船舶を表彰し、環境性能の優れた船舶に対して港湾使用料金などを割り引くことについても合意した。宣言では、エネルギー転換の促進に港湾が重要な役割を果たすこと、気候変動問題に立ち向かうために緊密な連携が必要なこと、COP 26のClydebank Declarationで創設が合意されたGreen Corridors(環境性能の優れた船舶に低炭素代替燃料を供給することができる主要港湾ルート)の重要性についても言及されている。14か国の内訳は、ドイツ・ベルギー・カナダ・韓国・クロアチア・デンマーク・日本・ルクセンブルグ・モロッコ・オランダ・ポーランド・ポルトガル・チェコ・スウェーデンで、参加主要港湾のうち日本の港湾は、大阪港・神戸港・横浜港・東京港の4港だった。
原文
Seatrade Maritime News (02/08)
Webinar情報
1.Economist Impact: World Ocean Summit Virtual Week
March 1-4
https://eventsregistration.economist.com/event/61d9b752-e431-40ba-8da2-39ccab8ead8d/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg&utm_campaign=wos2022&utm_medium=Eloqua&RefID=EM04&utm_content=top-speakers&utm_source=email
2.Economist Impact: 7th Annual Sustainability Week
March 21-24
https://eventsregistration.economist.com/event/794ae119-be9a-4185-b2cd-83bad6be3146/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg