国際海洋情報(2022年1月21日号)

1.米エネルギー省:波力発電の研究開発・実証試験のために2500万ドルを支援

1月25日、米国エネルギー省(DOE)は波力発電の研究開発・実証試験のために、オレゴン州の沿岸のPacWave South試験海域で実施される8件のプロジェクトに対して、合計2500万ドルの支援を実施して、波力発電の発電コストを低下し、大規模な商業レベルでの導入を通じて、2050年までの炭素中立実現手段の一つとすることを発表した。波力発電の実用化のためには、大規模な実際の海洋実験海域の確保が課題となるが、DOEはオレゴン州立大学と連携して、米国で最初に事前認証され、送電網にも接続される実海域の海洋エネルギー試験場であるPacWave South試験海域を設けることを2016年に合意し、作業を進めてきた。

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US DOE (01/21)


2.メタノールが最も現実的な海運代替燃料

クリーンエネルギーに関する投資研究機関であるLongspur Researchは、海運代替燃料の中で、メタノールは代替性・供給可能性・エネルギー密度・CO₂削減効果の点で、最も現実的な代替燃料であるとする報告書を発表した。船舶からは、CO₂の他に、SOx・NOx・微細粒子などの大気汚染物質が排出されるが、メタノールを燃料として使用した場合、これらの大気汚染物質の排出を60%以上削減できるほか、天然ガスを原料として生産したグレーなメタノールでも10-15%、再生可能電力から生産されるグリーンなメタノールでは90%以上、従来燃料と比較してCO₂の排出を削減することができる。より具体的には、メタノール生産は技術的にも確立され、すぐにでも供給可能で、新造船ばかりでなく、既存船の機関の改修でも対応可能で、エネルギー密度も相対的に高いので、広い燃料スペースを確保するために貨物の積載スペースを大きく減じる必要もなく、燃料としての有毒性も低く、船舶から船舶への補給も可能で、価格的にも相対的に最も安い選択肢であるとしている。

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Offshore Energy (01/21)


3.EU:2030年までにすべての食品包装を再使用・リサイクル可能に

気候変動対策の一環として、EUは循環経済への移行を促進しているが、欧州委員会は2030年までにすべての食品包装を再使用・リサイクル可能なものにするよう「包装・包装廃棄物」に関する指令を7月に改正する見込み。現状では、ポテトチップスやチョコバーといった食品の包装にやわらかいプラスチックを使用したflexible packagingといった包装方法が用いられているが、この包装方法はプラスチックやアルミなど異なる材質の層で出来ているため、異なる材質を分離してリサイクルするのが困難である。現在食品業界はこの問題の解決に取り組んでおり、チョコレートメーカーのMarsは2025年までに製品の包装材を100%リサイクル可能なシンプルなものとし、ネスレは既に2020年の段階で、包装材の62%をリサイクル・再使用可能なものとしている。

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Euractiv (01/21)


4.EU:2020年の電力消費量の37%は再生可能エネルギー発電

EU統計局は1月26日、2020年のEU域内の電力消費量の37%は再生可能エネルギー発電と発表した。EU諸国の中では、再生可能発電比率が高い順に、オーストリア(78%)・スウェーデン(75%)・デンマーク(65%)・ポルトガル(58%)・クロアチア/ラトビア(53%)となった。再生可能エネルギーの内訳としては、風力発電が36%、水力発電が33%、太陽光発電が14%となっており、太陽光発電は2008年にはわずか1%だったので、成長率では群を抜いている。電力以外も含めたエネルギー全体で見ると、2020年におけるEUの再生エネルギー比率は22%となり、比率が高い順にスウェーデン(60%)・フィンランド(44%)・ラトビア(42%)となる一方、フランスは原子力発電の拡充を続けているので、再生可能エネルギー比率は19%にとどまっている。仏政府は裁判所から2022年末までにCO₂の排出量をピークアウトすることを求められている。

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Reuters (01/21)


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