国際海洋情報(2021年2月20日号)
1.EU:専門家が天然ガスと原子力を持続可能エネに分類することに反対
欧州委員会は、EU Taxonomyにおいて、天然ガスと原子力を一定の条件のもとに、移行期における持続可能なエネルギーと認める案を発表しているが、具体的には、天然ガスについては、CO₂排出量が270g/kWh以下、または、20年間の年間CO₂平均排出量が550kg/kW以下であれば、2030年まで持続可能なグリーンなエネルギーと認めるとしている。この案に対し、欧州委員会に対し、グリーンな投資に関して助言する専門家グループは、条件をさらに厳格化して、CO₂排出量が100g/kWh以下の発電所に限って認めるべきと28日に正式に助言する予定。仮に、専門家の条件が採用されると、既存の天然ガス火力発電所は条件を満たすことができず、炭素回収貯留(CCS)技術の導入が必要となる。専門家は、原子力については核燃料廃棄物の問題も含め、欧州委員会の案では、原子力発電によって環境に悪影響が及ぼされない担保措置がなく、持続可能エネルギーと認めるべきでないと助言する予定。
原文
Reuters (01/20)
2.中国が2021年に洋上で発電し送電網に接続した電力が16.9GWに
中国の洋上風力発電の拡大は目覚ましく、2020年には新たに3060MWの洋上風力発電が建設され、洋上風力発電能力が98の合計が98MWに達していたが、この勢いは、2021年も拡大継続し、2021年中に新たに建設され、陸上の送電網に接続された洋上風力発電量は16.9GWに達し、送電網に接続されている洋上風力発電量は、2020年比で、171%拡大して、26798MWとなった。この結果、中国は、英国(2020年末で10206MW)を抜いて、建設電力量でも接続電力量でも、洋上風力発電能力で圧倒的な世界第1位となった。建設されかつ陸上の送電網に接続されている洋上風力発電施設の世界の合計発電量は現在、52.3GWだが、世界の過半数の施設が中国国内に存在することとなる。中国では全量固定価格買い取り制度(feed in tariff)の対象となるためには、昨年末までに送電網に接続する必要があり、この結果、12月25日には、わずか一日で、3.1GWの洋上風力発電施設が送電網に接続された。
原文
Offshore Wind (01/20)
3.独副首相:原子力を「持続可能なエネルギー」に分類することに反対
独政府の副首相兼経済・気候対策担当大臣は、欧州委員会委員長と会談し、原子力発電を一定の条件付きで「持続可能なエネルギー」に分類することに反対し、Taxonomyの案が修正されなければ、副首相は自国政府が欧州委員会の案に対して拒否権を行使するよう進言すると25日表明した。同副首相は、連立与党の「緑の党」の共同代表だが、気候対策担当大臣に就任した際に、原子力に依存する代わりに、欧州で開発された水素(を原料とした)エネルギーを同国のCO₂排出削減に活用する可能性を調査すると語っている。独の人口は、世界の人口の約1%だが、CO₂排出量は世界の排出量の2%を占めている一方、同国内の現在稼働中の3基の原子力発電所は本年末までに運転を停止することとなっている。
原文
DW (AP) (01/20)
4.英国政府:浮体式洋上風力発電の研究開発に4200万ポンド追加支援
英国政府は現首相の掲げた気候変動対策の「10項目の対策」のうちの一つである、2030年までに浮体式洋上風力発電量の合計を1GWに拡充する目標のために、既に約2.5億ポンド(約385億円)をかけて、「浮体式洋上風力発電デモンストレーションプログラム」を実施しているが、英国が洋上風力発電における世界的なリーダーシップを維持し、水深の深い海域における浮体式洋上風力発電施設に関する研究開発を進めるため、英国政府は新たに11の研究開発事業に4200万ポンド(65億円)の補助金を交付すると発表した。英国における洋上風力発電能力を拡充するためには、これまでの洋上風力発電所の設置場所より、風力も強く発電効率の良い、より沖合の水深の深い海域に新たな浮体式の洋上風力発電施設を建設する必要があり、浮体式施設を水深の深い海底や海底ケーブルや海底の基礎に係留する技術などに焦点を当てて研究開発を実施する。
原文
The Maritime Executive (01/20)
国内ニュース
1.商船三井:世界初、商業運航コンテナ船の無人運航実証実験に成功
原文
1月25日、商船三井
Webinar情報
1.Economist Impact: Beyond Supply Chains: Look at visibility and sustainability
January 26
https://eventsregistration.economist.com/event/3cd485b3-d80b-4da4-9851-469a74881bbb/regProcessStep1:9585f1e8-c365-4aaf-a592-c008adcc6e6a?rp=d3a55e4b-b045-4ed7-90aa-e859db8b8c74
2.Economist Impact: World Ocean Summit Virtual Week
March 1-4
https://eventsregistration.economist.com/event/61d9b752-e431-40ba-8da2-39ccab8ead8d/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg&utm_campaign=wos2022&utm_medium=Eloqua&RefID=EM04&utm_content=top-speakers&utm_source=email
3.Economist Impact: 7th Annual Sustainability Week
March 21-24
https://eventsregistration.economist.com/event/794ae119-be9a-4185-b2cd-83bad6be3146/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg