国際海洋情報(2022年1月17日号)
1.WMO:2021年は史上7番目に気温が高い年に
1月19日、世界気象機関(WMO)が世界の6つの気象機関の観測データをまとめて、2021年の世界の気象を総括して発表したところその概要は以下のとおり。①2021年の世界の平均気温は、産業革命以前の1850年から1900年の間の平均気温と比較すると、約1.11℃高く、2015年以来7年連続で1℃以上、産業革命以前の平均気温を上回った。②2021年の気温は、気温冷却効果があるラニーニャ現象が2020年から続いている影響で、2019年や2020年に比べると相対的に気温が低く、過去7番目に気温が高い年となったが、10年単位での平均気温で見ると気温の上昇は続いている。③2021年の特異気象としては、カナダでアルジェリアのサハラ砂漠と同レベルの約50℃を観測したこと、大量豪雨と洪水がアジアと欧州で発生したこと、アフリカと南米の一部で干ばつが発生したことがあげられる。
原文
WMO (01/17)
2.EU:ソマリア沖の海賊対策に関する任務が失効することを懸念
昨年12月に、国連安全保障理事会では、ソマリア沖のEU NAVFOR Somaria (Operation Atalanta)と米国が主導するCombined Joint Taskforce – Horn of AfricaとNATOが実施するOperation Ocean Shieldの3つの国際的な海軍の任務を3か月延長することが合意された。EU NAVFORは過去14年間にわたって、ソマリア沖の海賊の取り締まりに従事し、2011年以来着実に海賊の件数は減少してきたが、欧州委員会の担当者は、EU NAVFORに代わって長期的に同地域を安定させる構造を3か月で作り上げるのは困難と考えている一方で、ソマリア政府は同国領海内における国際的な海軍の活動を継続させることに否定的と報道されている。同国では大統領派と首相派の間で、政治的な緊張が続いており、このような国内情勢の不安定がイスラム過激派のAl-Shabaabの活動を活性化させ、Horn of Africa地区で海賊グループが再結成される可能性があるので、EU側は少なくてもあと9か月の任務の延長を望んでいるが、ソマリア政府は任務延長の条件として、同国の沿岸警備隊と海軍の強化を外国海軍が支援し、EU NAVFORの活動も海賊の取り締まりより、違法漁業や有害廃棄物の不法投棄の取り締まりに重点を置くことを望んでいる。
原文
The Maritime Executive (01/17)
3.北欧諸国の風力発電量が過去最高を記録し、電力価格も低下
1月20日、デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの北欧4か国における風力発電の総量が過去最大の21.3GWを記録した。ノルウェーの気象庁は、同日の朝、ノルウェー南部の山間部では風速40.8m/sの強風を記録したと発表し、スウェーデンでも、首都ストックホルム北部の送電事業者が、強風について警告を発し、先週末の強風では、樹木が根から倒れて、いくつかの場所で停電が発生した。こうした一時的な強風だけでなく、ここ数年間に北欧地域で新設された風力発電施設の増加も記録の更新に寄与した。強風による風力発電量の増加によって、地域の基準電力卸売価格を50ユーロ/MWh以下に押し下げ、過去2週間には、1時間当たりの価格が、何回か10ユーロ/MWhを割り込んだ。(ちなみに1月の平均電力価格は96ユーロ/MWhであった。)
原文
Reuters (01/17)
4.中国政府:電力事業者への炭素排出枠削減幅を大幅引き上げへ
中国政府生態環境部は、2022年の電力事業者への炭素排出枠削減計画を立案し、大手電力事業者の削減率は、当初提案されていた1%を大幅に超える7.9%に、発電能力が300MW以下の小規模電力事業者にはさらに厳しい12%の削減が提案されることが非公式にわかった。昨年、中国政府が排出権取引市場を立ち上げた際には、電力事業者に対して過大な排出枠を割り当て、電力事業者は排出枠を使い切れないような状況だったが、2022年の排出枠が大幅に削減されることによって、電力事業者は排出権を購入するか、炭素火力発電への依存度を下げるかの選択に迫られる。21日現在の排出権価格はトン当たり57.46元だったが、排出枠の削減により、65元(約1170円)程度に価格が上昇すると専門家は予想している。
原文
Bloomberg Quint (01/17)
国内情報
Webinar情報
1.Economist Impact: Beyond Supply Chains: Look at visibility and sustainability
January 26
https://eventsregistration.economist.com/event/3cd485b3-d80b-4da4-9851-469a74881bbb/regProcessStep1:9585f1e8-c365-4aaf-a592-c008adcc6e6a?rp=d3a55e4b-b045-4ed7-90aa-e859db8b8c74
2.Economist Impact: World Ocean Summit Virtual Week
March 1-4
https://eventsregistration.economist.com/event/61d9b752-e431-40ba-8da2-39ccab8ead8d/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg&utm_campaign=wos2022&utm_medium=Eloqua&RefID=EM04&utm_content=top-speakers&utm_source=email
3.Economist Impact: 7th Annual Sustainability Week
March 21-24
https://eventsregistration.economist.com/event/794ae119-be9a-4185-b2cd-83bad6be3146/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg