国際海洋情報(2022年1月14日号)

1.韓国公取:コンテナ海運の価格カルテルに対し23社に8100万ドルの罰金命令

2018年7月に、木材輸入事業者が韓国公正取引委員会(KFTC)に対し、コンテナ海運会社が一斉に韓国=東南アジア間の運賃を引き上げたと申し立てを行ったのを受けて、KFTCが調査を開始し、2020年5月に、同委員会は海運会社に対して合計で6.72億ドルの罰金を課すと通告した。この通告に対して、同国海洋水産部・韓国船主協会・韓国船員組合・中国政府などは、このような多額の罰金はコロナ後のコンテナ海運船社の収益改善を水泡に帰してしまうとして反対し、この結果、罰金額は減額された。同年10月には韓国議会で、KFTCから海運会社を守るために海運法が改正されたが、KFTCの法改正は遡及適用されないし、海運法では船社による共同行為は条件付きで認められるものの、本事例ではその条件が満たされておらず、海運会社はあくまで罰金を支払うべきとの立場を崩していなかった。この結果、1月18日、KFTCは高麗海運(KMTC)をはじめとする韓国国内船社と、マースクなどの外国船社の合計23社に対して、2003年から2018年までの間の、韓国=東南アジア間の価格カルテル行為に対して、総額8100万ドルの罰金の支払いを命じた。

原文

The Loadstar (01/14)


2.中国の化石燃料依存度引き続き高水準を維持

中国は世界で最も積極的に再生可能エネルギーの開発を進めている一方で、2021年に石炭火力と天然ガス火力が全発電量に占めるシェアは71%と2020年と同水準になった。この原因としては、中国の2021年の経済成長率は8.1%で、拡大する電力需要に応えるためには、再生可能発電の拡充だけでは足らず、すべての火力発電所をフル稼働させる必要があったためである。特に昨年後半は、前例のない電力不足に見舞われ、中国政府は国内石炭生産量と石炭輸入量を増加せざるを得ず、また、石炭火力からLNG火力に移行させるという長期戦略に従い、化石燃料である天然ガスの使用量も過去最大となった。この結果、中国と同様に石炭に依存するインドと組んで、昨年のCOP 26では、炭素回収装置がない石炭火力発電所を「撤廃」する合意を、「縮小」にとどめることに成功した。

原文

The Straits Times (01/14)


3.英国政府:ETS価格の高騰に対して市場介入しないことを決定

英国排出権取引制度には、3か月連続して、平均取引価格が一定水準を超えれば、ETSを管理する当局が介入することができる価格抑制機能(CCM)があるが、10月、11月、12月の平均取引価格は、CCMを発動できる基準価格の1トン当たり56.58ポンド(約8838円)をいずれも超えていたが、管理当局は「ETS価格は高い水準を維持し、CCM発動基準を超えているものの、慎重に検討した結果、ETS価格の高騰は市場の基本的要素(fundamental market drivers)を反映したものであるので、12月に引き続き、1月も政府は市場に介入しないと決定した。」と発表した。「市場機能を活用して、CO₂の排出量を削減し、市場参加者に最も経済効率の良い脱炭素手法を選択することを促すという排出権取引制度の目的を維持するため、12月に引き続き1月も市場に介入しない決定をした。」ともコメントしている。

原文

Reuters (01/14)


4.ReCAAP ISC:2021年年次報告書

アジア海賊対策地域協力協定情報共有センターが標記年次報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①2021年にアジア地域で発生した武装強盗の件数は82件(5件の未遂を含む)で、2020年の97件と比較して15%の減少となった。公海上で発生した海賊事件はゼロだった。②ほとんどの海域で武装強盗の件数が減少したが、シンガポール海峡のみ事件数が増加した。③2021年において、最も警戒すべき海域としては、件数が増加したシンガポール海峡、暴力事件が発生したマニラの錨泊地、船員誘拐事件が発生したスールー・セレベス海域の3海域だった。④シンガポール海峡では、事件数が前年の34件から49件に急増した。犯人が逮捕されなかったので、同じような事件が繰り返し発生した。⑤マニラ錨泊地で発生した事件9件中、4件は賊が銃やナイフで武装しており、船員を脅迫し、縛り上げた。しかし、9月に犯人グループが逮捕されて以来事件は発生していない。

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ReCAAP (01/14)


国内情報

1.日本郵船とノルウェー・Knutsen Groupが 液化CO2輸送・貯留事業の新会社設立
原文

1月18日、日本郵船


2.無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」世界初の大型フェリーの無人運航実証
原文

1月17日、三菱重工


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