国際海洋情報(2022年1月5日号)

1.中国寧波港:コロナ感染の拡大でターミナル物流が混乱

4日付環球時報によれば、中国東部浙江省の寧波市では、衣料品製造工場でデルタ株のクラスターが発生し、1月3日の段階で、23人の感染者が確認されたため、1663人の感染者が出た西安に続き、世界最大級のコンテナ港湾である寧波・舟山港の一部であるBeilun地区でロックダウンが実施され、住民は外出禁止で、すべての商業活動も停止している。この結果、6日付のマースクの情報によれば、トラックと運転手の活動制限によって、同港のヤードと倉庫の一部は既に運用停止となっており、旧正月に向けて、事態はさらに悪化する可能性がある。昨年の8月も同港では、コロナの影響で、同港からの輸出が遅延して、同港からの自動車・機械・電子部品などの輸出に依存する欧米の事業者や消費者に大きな影響を与えた。

原文

gCaptain (Bloomberg) (01/05)


2.大気汚染によって全世界で毎年180万人が死亡

1月5日、医学学術誌のThe Lancet Planetary Healthに発表された二つの研究論文によれば、大気汚染によって全世界で毎年180万人が死亡しており、さらに世界全体で約200万人の小児喘息も、自動車から排出される窒素酸化物が原因であり、小児喘息患者の2/3が都市部に居住していることが分かった。世界保健機関によれば、世界の人口の55%が都市部に居住し、そのうちの86%に当たる25億人が超微細分子であるPM2.5の大気中の濃度が健康上危険なレベル以上のところで生活している。米国環境保護庁によれば、同国の40%以上の人口が、健康上好ましくない大気汚染が進んだ地域に居住している。PM2.5は喘息ばかりではなく、他の肺の病気や心臓病・認知症の原因にもなっている。2019年の実績では、世界中で10万人の死者中、61人の死亡がPM2.5と関連付けられ、最も大気汚染が進んでいる東南アジア諸国では、10万人の死者中84人がPM2.5を吸収したことによるものだとされている。

原文

UPI (01/05)


3.オミクロン感染拡大で大手クルーズ船社が相次いで航海をキャンセル

Royal Caribbean Cruises(RCC)社とNorwegian Cruise Line(NCL)社の大手クルーズ船2社は、1月5日、オミクロン株感染の拡大を受けて、相次いでクルーズを中止した。RCCは1月2日、乗船中の9人の乗客が濃厚接触者と認定され、これらの乗客は検査の結果陰性と判定されたものの、全乗員・乗客の検査をやり直すために、1月5日香港に戻って、クルーズを中止した。NCL社も1月3日、米国で1日の感染者数としては過去世界で最大の約100万人のコロナ感染者が出たのを受けて、8隻のクルーズ船の運航を中止し、運航再開を最長で4月まで延期すると発表した。業界最大手のCarnival Corp社は、いかなる運航の中止もしないと宣言しているが、クルーズ旅行を予約した旅客側からのキャンセルの動きも出ている。上記3社の株価は、1月5日、2.1%から3.6%下落した。

原文

Reuters (01/05)


4.米国の電力事業者は気候変動の影響で年間41億ドルの損害を被る恐れ

海面上昇・ハリケーン・山火事などの気候変動に伴う自然災害によって、世界の送電網の1/5が被害を受ける可能性があるという報告書が1月5日、Bloomberg NEFから発表された。米国内だけでも70万kmに及ぶ送電網が自然災害によって被害を受ける可能性があり、被害額は年間で最大41億ドルに達する見込み。過去3年簡に、格付け機関が、こうした自然災害による損害を受ける可能性があることを理由に、9社以上の電力事業者の格付けを引き下げた。極端な例としては、PG&Eという電力会社は、同社の送電線がカリフォルニア州でこれまで史上2番目に大規模な山火事の原因となったとして、破産に追い込まれた。

原文

IEEFA (01/05)


Webinar情報