国際海洋情報(2021年12月28日号)

1.デンマーク:国内航空路線を2030年までに脱化石燃料化

デンマークは2030年までに、1990年実績比でCO₂の排出量を70%削減することを目標としているが、同国首相は、新年のスピーチで、2030年までに国内航空路線で化石燃料の使用を停止すると発表した。同首相は、現段階でその目標を実現するための代替燃料が開発されていないことを認めたうえで、世界の各国が二の足を踏む中、同国が目標を引き上げて、世界をリードするとした。エアバス社は、水素を燃料とする航空機の運航を2035年までに達成すると発表している。スウェーデンも同様に国内線を2030年までに脱化石燃料化し、さらに2045年までに国際線も脱化石燃料化することを目標としており、CO₂を多く排出する航空機に対して、空港利用料金を引き上げることを検討している。フランスも、高速鉄道を利用して2時間半以内で移動できる路線については、国内航空路線を禁止することを検討している。禁止が実現すれば、パリ=ナンテ・リヨン・ボルドー間の国内航空路線が影響を受けることとなる。

原文
BBC (21/12/28)

2.独クルーズ船:乗組員の大量感染でクルーズを途中で中止

カーニバル社の子会社であるドイツのAIDAクルーズが運航するAIDAnova号はマデイラ島で大晦日を祝うために、2884名の乗客と 1353名の乗員を乗船させて、12月29日、ポルトガルのリスボン港に帰港したが、ワクチン接種済みの乗員のうち52名の感染が発見された。同船はスペイン領ランザローテ島に向かって出港を許可されたものの、4名の乗客を含む新たに12名の感染が新たに確認されたため、同社は同船の運航を停止し、すべての乗客は3日に下船し、空路で帰国する見込み。12月30日、米国疾病予防対策センター(CDC)は米国民に対して、ワクチン接種の有無にかかわらず、クルーズ観光を控えるように勧告した。

原文

Reuters (21/12/28)


3.Copernicus:2021年は1979年以来5番目に暑い年に

EUの衛星観測機関であるコペルニクス気候変動サービスの情報によれば、2021年は観測が1979年に始まって以来、5番目に暑い年となった模様。2021年は6月から8月にかけて、史上最高の平均気温を地球全体として記録したが、寒冷化効果のある太平洋のラニーニャ現象の影響で、10月以降気温が低下した。ラニーニャ現象の影響で、米国南部では暖冬となったが、インドネシアと豪州で洪水を引き起こした。

原文

Paris Beacon News (Bloomberg) (21/12/28)


4.CDCに登録された乗客を乗せたすべてのクルーズ船でコロナ発生

米国疾病予防対策センター(CDC)に登録されている110隻のクルーズ船のうち、乗客を実際に乗せて運航している97隻のクルーズ船全てにおいて、コロナ感染者が報告されたと1月4日、CDCは発表した。具体的な感染者数は公表されていないが、ほとんどが乗客・乗員総数の1%未満の感染率であると考えられ、すべての乗員・乗客は乗船前にワクチン接種が義務付けられているため、ほとんどの感染者が無症状または軽い症状にとどまっており、ほとんどのクルーズ船は予定とおり運航を続けており、現在の「条件付き運航許可(Conditional Sailing Order)」についても、1月15日で期限切れとなり、期限が延長されなければ、CDCによる船上での検査やCDCに対する感染状況の報告義務も終了することとなる。Royal Caribbean社によると、感染者数は増えているものの、6月から運航を再開して以来、感染者のうち入院が必要となった乗客は合計で41人にすぎず、オミクロン株ではなかった。

原文

The Maritime Executive (21/12/28)


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