国際海洋情報(2021年12月27日号)
1.中国:英国を抜いて世界最大の洋上風力発電国に
中国は洋上風力発電施設の整備を急速に進めており、12月の第4週だけでも、中国最大のタービンを導入した最大のwind farmと、台風の強い波風にも耐えられる最初の浮体式wind farmと、東部中国のwind farmの拡張といった3事業を相次いで認可した。この結果、中国国家統計局によれば、2021年上半期末の時点で、同国の洋上風力発電能力の総量は7.9GWだったが、2021年末には11.2GWまで拡充され、これまで世界最大の洋上風力発電国であり、2020年末で10.2GWの発電能力を持っていた英国を抜いて、中国が世界最大の洋上風力発電国となる見込みとなった。台風の波風にも耐えられる浮体式洋上風力発電技術の開発によって、これまで中国の北西部に主として建設されていた風力発電施設を、電力の主要消費地であり、土地のスペースが限られている中国東部地域の洋上に建設拡大することができることとなる。
原文
The Maritime Executive (21/12/27)
2.欧州委員会:一定の条件の下で原子力と天然ガスをグリーンと認定する案を作成
欧州委員会の作成した案によれば、新たな原子力発電の建設については、放射性廃棄物を処理する資金と場所を確保したうえで、2045年までに建設許可を受けることがグリーンとみなされる条件となる。新たな天然ガス発電所については、より多くのCO₂を排出する化石燃料を使用する火力発電所を代替する目的で、CO₂排出量を270g/kWh以下とし、2030年末までに建設許可を得、2035年末までにさらに炭素排出量の少ないガスに燃料を転換することが条件とされている。EUの専門家は、天然ガス発電について、CO₂排出量を100g/kWh以下に削減できなければ、グリーンと認定すべきでないとしている。EU加盟国とパネルの専門家は、欧州委員会の案を精査したうえで、欧州委員会は1月末までに提案を最終化するが、理事会と議会の承認を得る必要がある。グリーンと認定されれば、民間金融機関からの融資が優先的に受けられるだけでなく、公共的な支援を受ける条件を満たすことにもなる。
原文
Reuters (21/12/27)
3.FMC:荷主等による海運会社に対する不平申し立てに関するガイドラインを発表
米連邦海事委員会(FMC)のDye Commissionerが、調査報告(Fact Finding 29)に基づき、7月に取りまとめ、9月にFMCの承認を受けた暫定勧告をもとに、FMCは12月28日、荷主等が海運会社の行為に対して不服申し立てをFMCにすることを容易にするための3つのガイドラインを作成・公表した。第1のガイドラインは、46 USC Chapter 411に違反する行為に対して、違反行為によって影響を受けた荷主だけではなく、荷主団体などの業界団体が、団体会員である荷主の利益を保護し、個別の荷主を申し立てに対する報復から守るために、個々の荷主に代わって申し立てを行えることを定め、第2のガイドラインは、申し立てが却下された場合でも、申立人が誠実・公正に申し立てを行っていれば、FMCは申立人が被申立人の法律費用を負担しなくても良いと認定できることを定め、第3のガイドラインは、申立人に対する海運会社による報復を禁止する規則について細則を定めている。
原文
米連邦海事委員会 (21/12/27)
4.LA港:1月末から9日以上ターミナルに放置されている空コンテナに課金か
ロサンゼルス港管理者は、過去2か月間に輸入されたコンテナの数を大幅に減らすことに成功したものの、依然として多くの空コンテナがターミナルに放置されているとして、1月30日から9日以上ターミナルに放置されている空コンテナについて、1日1個当たり100ドルを船社に課金し、撤去されるまで1日経過するごとに課金額を100ドルずつ増額する案を発表した。同港の管理委員会は、1月13日にこの案について審議する予定。同港は10月25日にも、長期間放置されている輸入コンテナについて、船社に対して課金する権限を港湾管理者に与えたが、その後、ターミナルに放置された輸入コンテナ数が53%減少したことから、実際にはいまだ課金する権限は発動されていない。
原文
ロサンゼルス港 (21/12/27)
Webinar情報
1.Economist Impact: 7th Annual Sustainability Week
March 21-24
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