国際海洋情報(2021年12月24日号)

1.米エネルギー省:再生可能燃料の生産拡大について情報提供を要請

12月23日、米国エネルギー省(DOE)は、バイオ燃料の製造事業者や技術開発事業者から、持続可能な航空燃料(SAF)・再生可能ディーゼル・再生可能舶用燃料の生産規模の拡大について、現状でどの程度準備ができているかについて、意見を募集する「再生可能燃料の規模拡大・実証に関する課題の克服」に関する情報提供要請(Request for Information: RFI)を開始した。DOEは、第1世代のエタノール製造事業者などの既存の事業者が、バイオ燃料生産のための低コストの原料やインフラをどうすれば提供してくれるのか等の情報も聴取したいとしている。収集した情報をもとに、DOEの「バイオエネルギー技術室(BETO)」が、再生可能エネルギー生産拡大のための課題を把握し、2030年までの米国内における再生可能エネルギー生産計画を作成し、バイオ燃料生産関係者の技術開発を支援し、基礎技術を実証レベルに引き上げるために、DOEの果たすべき役割を検討する。

原文

December 23, 2021, 米エネルギー省


2.バハマ:MSCのクルーズ船にプライベートビーチへの寄港を禁止

これまでカリブ海諸国はクルーズ船の一般港への寄港を拒否してきたが、バハマ政府はMSCクルーズ社が自社で保有する無人島のプライベートビーチへの寄港を12月29日禁止した。寄港を拒否された同社のMSC Seashoreでは少数の乗員と乗客の感染が確認されたが、大多数の感染者は無症状ではあるが、隔離され監視下に置かれている。バハマは2020年6月にクルーズ船の寄港の再開に先陣を切って認めた国で、27日の時点では、クルーズ船の寄港拒否はしないとしていたが、方針転向の理由は明らかにされていない。同国にはMSCの他にも他のクルーズ船社もプライベートビーチを持っているが、AISの情報では、12月31日の時点で、Royal Caribbean社とVirgin社のクルーズ船が同国内のプライベート港に停泊しており、プライベート港への寄港拒否が他社にも及ぶか否かは現時点で定かではない。

原文

December 31, 2021, The Maritime Executive


3.独:既存の6基の原子力発電所の半分の3基を運転停止

独政府は2011年に日本で発生した東京電力福島原子力発電所の事故の後、原子力発電の段階的廃止に取り組んできたが、12月31日、稼働中の原子力発電所の半数にあたる3か所の原子力発電所の運転を停止した。独における2021年の発電分担率は、再生可能発電が約41%、石炭火力が28%、天然ガス火力が15%、原子力が約12%となる見込み。独政府は、再生可能発電のシェアを2030年までに80%まで引き上げることを計画しており、残りの3か所の原子力発電所も2022年末までに運転を停止する予定。原子力発電所の解体コストは1か所あたり11億ユーロ(約1440億円)で、放射性廃棄物の包装・清掃コストも含めると全体で94億ユーロ(約1.2兆円)のコストとがかかり、解体処分作業は2040年までに終了する見込み。

原文

December 31, 2021, Reuters


4.独新首相:G7議長国としての新年所感を発表(環境部分等要約)

標記所感の要旨は以下のとおり。①独は新年から1年間G7の議長国となるが、議長国として、経済を炭素中立の目標に沿って発展させ、公正な世界を作るために、G7を炭素排出削減のための同一のルール・基準を共有したClimate Clubにしたい。②気候変動に配慮した経済成長を実現すると同時に、EUが導入を計画している炭素国境調整課税などによって、国際的な貿易摩擦が生じるのを防ぐためにも、国際協調が重要である。③一方で、平和主義・法の支配・民主主義といった共通の価値観を共有する、独立した強力な欧州を実現する必要がある。④ウクライナについては、新たな挑戦を受けているが、ウクライナの領土的な統合が尊重されなければならず、国境の不可侵を守るために、独は今後も欧米の同盟国と協力して平和を維持していく。

原文

December 31, 2021, Euractiv


Webinar情報