国際海洋情報(2021年12月21日号)
1.スペインのバレアレス諸島などでクルーズ船の寄港制限
原文
2.オミクロン感染拡大による労働者不足が国際物流の混乱を助長
オミクロンの感染が拡大し、世界各国が様々な制限を強化する中で、世界中の物流事業者は、世界的な大手企業から地域の中小企業まで、物流労働者の十分な確保が困難な状況になっている。国際道路輸送組合(IRTU)によれば、物流事業者が平常時に比べて高い賃金を提示しているにもかかわらず、オミクロンの影響で、トラック輸送に従事する運転手の数は20%減少している。Drewry社は、2022年も年間を通じて、労働者の不足と健康問題への懸念が続くと予測しており、海運においては、Neptune Declaration Crew Changeによれば、当初の雇用期間を超えて船上で継続して働かなくてはいけない船員の比率は、7月半ばに9%に達したのをピークに、現在は5%以下に減少したものの、海運企業はこうした長期間労働を経験した船員が船に戻ってこないという問題に直面している。
原文
December 27, 2021, AJOT
3.2022年:EUにおける航空・海運分野でのCO₂削減に関する論点
海運分野では、FuelEU Maritime規則案において、LNGが転換期におけるグリーンな燃料として位置付けられていることに対して、環境保護派からの反発が強く、そもそも天然ガスがEUのTaxonomyにおいてどのように分類されるかにも影響を受ける。航空については、ReFuelEU Aviation規則案においては、EU域内の空港で給油をする場合には、燃料油の一定割合をグリーンジェットオイルにする必要があるが、新たな規制適用のタイムスケジュールや持続可能な航空燃料(SAF)の混合比率について、議論が行われる見込み。SAFは既存のケロシン燃料に比べて、はるかに高いコストとなるので、規制実施時の欧州の航空会社の国際競争力に悪影響を与えるのではないかという懸念がある。独はさらに、再生可能発電から作られるelectro-fuelの使用目標を引き上げようと働きかけているが、コスト増加に過敏な他の加盟国からの反発が予想される。
原文
December 28, 2021, Euractiv
4.中国人民銀行がCO₂削減のための低利資金を供給
中国政府は2030年までに同国の年間CO₂排出量を減少に転じ、2060年までに炭素中立を実現するという国家目標を立てているが、中国の中央銀行である中国人民銀行は11月に、年利1.75%の低利で、金融機関がCO₂削減の事業に融資する資金の60%を供給すると発表していたが、12月28日、同銀行総裁は今月末までに、低利資金供給の第1弾を供給すると新華社に語った。総裁の不動産市場は回復する見通しで、金融リスクはコントロールできるとも発言した。
原文
December 28, 2021, Reuters
Webinar情報
1.Economist Impact: 7th Annual Sustainability Week
March 21-24
https://eventsregistration.economist.com/event/794ae119-be9a-4185-b2cd-83bad6be3146/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg