国際海洋情報(2021年12月16日号)
1.ベルギー:既存の老朽化したすべての原子力発電所を2025年までに閉鎖
ベルギー政府は12月23日、既存のすべての原子力発電所について、2022年から段階的に2025年までに運転を停止し、2045年までに安全に解体・撤去すると発表した。いくつかの原発は1970年代に建設され、老朽化して、安全点検のために頻繁に運転が停止され、近隣住民の不安をあおっていた。40年間の設計寿命を超えている原子力発電所は、国境を接するドイツからも安全上の懸念が指摘されていた。同政府は、原子力発電所閉鎖に伴う電力不足を補うため、新たに天然ガス発電所を2か所建設する予定。さらに、原発支持派への妥協として、10億ユーロ(約1300億円)をかけて、小型モジュラー原子炉の研究開発に投資する。原子力を持続可能なエネルギーとして位置付けることについては、仏等が賛成、独等が反対し、鋭く対立しているが、欧州委員会は1月にも原子力の分類案を提案する予定。
原文
December 16, 2021, BBC
2.カリブ海諸国:コロナ患者が発生したクルーズ船の寄港を拒否
12月18日にRoyal Caribbean社のSymphony of the Sea号で48人のコロナ感染者が出てから1週間もたたないで、同じRoyal Caribbeanが運航し、18日にフロリダを出港したOdessey of the Seasで、ワクチン接種済みの55人の乗員・乗客がコロナに感染したと22日同社が発表した。患者発生後、同船は2つのカリブ海諸国から寄港を拒否され、同社がバハマに所有する島の港湾に停泊している。同船では20日に18人の乗員の感染が最初に発見され、21日には36人と日を追うごとに感染が船内で拡大した。同船は予定通り、26日にフロリダに帰港する予定。
原文
December 16, 2021, CNN
3.欧州エネルギー危機救済のため米国から多量のLNGが急送
仏でいくつかの原子炉の運転が停止し、弱い風のために独の風力発電量が減少するなどの要因が重なって、欧州のエネルギー危機が深刻化しており、欧州諸国は冬季の暖房需要などを賄うために、石炭や石油の使用を余儀なくされているが、こうした欧州のエネルギー不足を緩和するために、米国で生産されたLNGを欧州向けに輸送するLNG輸送船が急増している。Bloombergの調査結果によると、21日現在で、米国から欧州に向かって航行しているLNG輸送船は10隻だったが、22日には15隻に急増し、さらに行き先が開示されていないが、11隻のLNG輸送船が欧州に向かっていると考えられる。こうした多くのLNG輸送船が米国から欧州に向かっているという情報が伝わって、史上最高レベルにあった欧州の天然ガス価格も下落に転じている。行き先がわかっている15隻のLNG輸送船の行き先は、英・仏・西が4隻ずつ、蘭・マルタ・ジブラルタルが各1隻となっている。
原文
December 16, 2021, gCaptain (Bloomberg)
4.IMO:ノルウェー政府と途上国へバイオファウリング防止技術支援
国際海事機関(IMO)はノルウェー開発協力庁(NORAD)から約400万ドルの支援を受けて、2022年から2025年までの4年間、外来性侵略生物の防止と船舶のエネルギー効率の向上を目指して、途上国に対してバイオファウリングに関する環境に優れた技術の移転(Transfer of Environmentally Sound Technologies: TEST)事業を実施すると12月14日発表した。この新規事業は地球環境ファシリティ(GEF)と国連開発計画(UNDP)と連携して、IMOが実施している既存のGloFouling事業を技術的に保管するもので、水中における船底清掃のための遠隔操縦ロボットや、船底の抗バイオファウリング塗料の状況を観測するための水中カメラの使用などバイオファウリング管理のための最新の技術的手法に関して、途上国への技術移転を促進し、当該技術を活用する人材の育成も図る。
原文
December 16, 2021, IMO
Webinar情報
1.Economist Impact: 7th Annual Sustainability Week
March 21-24
https://eventsregistration.economist.com/event/794ae119-be9a-4185-b2cd-83bad6be3146/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg