国際海洋情報(2021年12月15日号)
1.WMO:2020年に北極圏で観測された38℃を史上最高記録として認定
原文
2.米国の海上貿易と戦略的競争力再活性化計画
米国北東海事研究院の海洋政策経済センター(COPE)が標記計画を提言したところ、同報告書の中で指摘されている米国海運の現在の問題点の概要は以下のとおり。①米国籍船は全世界の商船隊の0.4%を占めるにすぎず、過去5年間だけでも船腹量を12%減少させた一方、同期間中に中国は55%増加させた。②米国の海上輸送はほぼすべて外国の商船隊に依存しており、米国の輸入貨物のうち、米国が所有している船舶で運ばれているのが2%以下、米国籍船で運ばれているのは1%以下である。③米国は海軍力で見ると、世界最強だが、商船隊の規模では21位にすぎない一方、中国は海軍力・商船隊の規模とも2位につけている。④国防総省は、外国籍のタンカーに大きく依存している結果、戦闘が長期間にわたった場合など、国家安全保障のリスクを増やしている。⑤法律で決められた戦時の海上輸送に必要な海上輸送能力と現状の船員・船舶数を比較すると、約1800人の船員と60隻の商船が不足している。
原文
December 19, 2021, Center for Ocean Policy and Economics
3.米国議会下院:海運会社に対する規制を強化する2021年外航海運改革法を可決
米国議会下院は12月8日標記超党派法案を可決し、上院に送ったところ、法案の概要は以下のとおり。①米国の輸出を促進するために、連邦海事委員会(FMC)の所掌に相互貿易(reciprocal trade)の確立を加える。②海運会社に対し、世界の海運業界におけるベストプラクティスに沿った「最低限のサービス基準」を担保することを義務付ける。③海運会社と港湾ターミナル運用会社に対し、超過保管料金・返却遅延料金などのいかなる遅延課徴金も連邦規則に従って、請求していることの証明を求め、証明できなかった場合は、罰金を科す。④超過保管料金・返却遅延料金の妥当性に関する立証責任を荷主から海運会社に移転する。⑤FMCが新たに定める規則に従い、海運会社が適切な理由なく、米国の輸出貨物の引き受けを拒否することを禁止する。⑥海運会社は、四半期ごとに、FMCに対して、輸出・輸入量の総数と、米国に寄港したコンテナ船毎の荷物を搭載したコンテナと空コンテナの実績を報告することを義務付ける。
原文
December 9, 2021, Logistics Management
4.EC:気候・環境保護・エネルギーに関する新たな国家助成ガイドラインを決定
12月21日、欧州委員会コミッショナー会議は、新たな気候・環境保護・エネルギーに関する新たな国家助成ガイドライン(CEEAG)を承認したが、その概要は以下のとおり。①欧州Green Dealを達成するためのすべての技術開発を加盟国が支援できるよう、国家助成の対象とすることができる投資と技術の分類を拡大。②GHGの削減だけでなく、騒音公害の削減・資源の効率的利用と循環経済の促進・生物多様性の保全と環境損害の復元に対する助成などについて国家助成の対象を拡充。③エネルギー多消費型の産業がEU域外に移転するのを防止するため、これらの産業に対して、エネルギー課税の減免制度を導入。④気候・環境保護に関する国家助成が、EU域内の単一市場の統合性と競争を損なわないように担保するためのセーフガードの導入。⑤殆どの化石燃料に対する国家助成を停止するなど、上記国家助成が環境・エネルギー分野における他の政策と整合性が取れるように担保。⑥天然ガスに対する新たな投資については、EUの2030年・2050年までのGHG削減目標に適合している等について証明されない限り国家助成を不許可。
原文
December 21, 2021,欧州委員会
Webinar情報
1.Economist Impact: 7th Annual Sustainability Week
March 21-24
https://eventsregistration.economist.com/event/794ae119-be9a-4185-b2cd-83bad6be3146/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg