国際海洋情報(2021年12月14日号)

1.BPとMaersk TankersがDrop-inバイオ燃料の試用に成功

舶用燃料の大手供給事業者であり世界で約300隻のタンカーを用船するBPと世界最大のタンカー運航会社であるMaersk Tankersはデンマーク海事庁の支援を受けて、BPに用船されている製品タンカー2隻を使用して、バイオ燃料を混合した舶用燃料の試用実験に成功し、海運から排出されるCO₂の削減のために、新たな低炭素代替燃料であるバイオ燃料を既存の機関でもそのまま使えるDrop-in燃料として使用できることが明らかにした。試験に使われたMarine B30バイオ燃料は、30%の脂肪酸メチルエステル(FAME)と70%の低硫黄燃料油(VLSFO)を混合して製造されている。FAMEはリサイクルされた調理油と再生可能な油原料から製造されるが、普通のディーゼル油と類似した物理的な組成を持つが、無毒かつ生分解性の燃料である。FAMEの原料は国際的に認証された基準に基づき、持続可能性が保証されている。

原文
December 17, 2021, BP

2.EU首脳会議:エネルギー問題について合意形成できず

12月17日、欧州首脳会合は、エネルギー問題について、2つの問題点をめぐり合意形成に至らなかった。第1は、排出権取引制度(ETS)について、ポーランドとチェコが、排出権取引価格と電力価格の高騰を理由に、両国のETSからの適用除外を求めたのに対し、その他の国は同意しなかった。第2は、原子力に対する投資を欧州Taxonomy上、持続可能な投資と分類するか否かについて意見が二分し、独・オーストリア・ルクセンブルグの原子力反対国が持続可能な投資と認めることを拒否した。

原文

December 17, 2021, Politico


3.世界最大のクルーズ船で48人がコロナに感染

12月18日に1週間のカリブ海クルーズを終えて、マイアミに寄港したRoyal Caribbean社の世界最大の乗員・乗客6000人を超すThe Symphony of the Seas号の乗客48人がコロナに感染したと同社が発表した。クルーズ業界は長期間にわたりコロナの影響で運航中止を余儀なくされていたが、米国CDCの最新の感染予防措置に従って、「最も安全な休暇」と銘打って、今年の夏から運航を再開していた。同社によれば、一人の乗客から陽性反応が出た後、接触検査を行い48人が感染していることが判明した。48人の感染がオミクロン株によるものかどうかはまだ判明していない。同船に乗船した乗客・乗員の95%は、2回ワクチン接種を済ませており、感染者の98%はワクチン接種済みだった。同社の規則によれば、12歳以上の乗客は2回以上のワクチン接種を受け、さらに出向前検査で陰性と判定されなければ乗船が認められず、さらに強制力はないものの3回目のワクチン接種を受けることが強く推奨されている。乗員も2回のワクチン接種を受け、最低週に1回検査を受けることが義務付けられている。

原文

December 21, 2021, CNN


4.米国農務長官と運輸長官が連名でコンテナ船社に農産物輸送の正常化を要請

米国農務長官と運輸長官は連名でコンテナ船社に対し、米国農産物輸出事業者が影響を受けている海上輸送手段の混乱を緩和し、輸出貨物と輸入貨物を平等に扱い、サービスを向上することによって、パンデミックによって生じたサプライチェーンの混乱を修復するように求めた。コンテナ船社は米国の輸出農産物に使用されるコンテナの数量を減らし、運航日程をたびたび変更し、不当な追加料金を課金し、通常の輸出農産物の荷役を行わずに空のコンテナを送り返すような行動をとっている。多くの海運会社は農産物輸出港であるオークランド港を抜港することによって、農産物輸出事業者に劣悪なサービスを提供し、貨物の引き受けを拒否している。運輸省と農務省はコンテナ海運会社に対し、米国西岸のオークランド港・ポートランド港などの余剰能力を十分に活用して、サプライチェーンの混雑を解消するように求めている。

原文

December 17, 2021, 米国農務省


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