国際海洋情報(2021年12月3日号)

1.ICS:各国政府にオミクロン対策として過剰な移動規制を実施しないよう要請

世界保健機関(WHO)が、オミクロン株を「懸念すべき変異ウィルス」に指定して以来、わずか1週間で、少なくても56か国が異なるレベルの旅行制限を導入しているが、WHOと世界労働機関(ILO)は、このような様々な制約が、運輸労働者や世界的なサプライチェーンに与える影響について協議し、勧告するために12月6日に緊急会合を開催する予定である。国際航空輸送協会(IATA)・国際海運会議所(ICS)・国際道路輸送組合(IRU)・国際運輸労連(ITU)は、各国政府に対し、過去2年間の教訓を生かして、性急で統一性のない入国規制を再導入して、国際的な運送に従事する労働者の移動の自由を制限しないように要請する。クリスマスの繁忙期で既に疲弊している世界の運輸労働者を支援し、サプライチェーンの制約を緩和するため、世界の首脳は共同で整合性のある決断力を持った行動をとるべきである。 

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December 3, 2021, ICS


2.United航空が持続可能な航空燃料100%の試験飛行を世界で初めて実施

ユナイテッド航空はシカゴからワシントンDCの間を、乗客100名が搭乗したボーイング737 MAX 8を、脂肪や調理油などから製造された持続可能な航空燃料(SAF)を500ガロン使用して、SAF100%の試験飛行を世界で初めて実施した。多くの航空機が既にSAFと既存のジェット燃料を混ぜて使用しているが、現行の規制では、SAFの含有比率は50%が上限となっている。同社が主導するEco-Skies Allianceは本年に入ってからすでに700万ガロン以上のSAFを調達している。SAFはトウモロコシ・菜種・生活ごみなどの余剰バイオマスを原料として製造され、米エネルギー省は、年間約10億トンのバイオマス原料を収集して、約500-600億トンの低炭素燃料を生産することが可能としている。しかし、現時点では、SAFのコストは既存航空燃料と比べて約4倍と高いうえに、現状ではSAFの生産量は必要量に比べて極めて少なく、米国のSAFの年間生産量は、デルタ航空が保有する航空機を1日飛行させる分しかない。

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December 2, 2021, Gizmodo


3.Kongsberg:世界初のフル規格の水素燃料電池で動くフェリーを開発

ノルウェーのKongsberg社は2013年からEUの補助を受けて、水素を燃料としたフェリーなどの船舶のための電動推進システムを開発するHySeas事業を、スコットランド・デンマーク・スウェーデン・イングランドの企業などとともに進めてきた。今回この事業の第3期目の最終段階として、水素を燃料とする燃料電池を使用した実物大の電動推進システムを作成し、水素を燃料とするRoPaxフェリーの最終設計のために、今後4か月間試験運転を実施し、水素燃料電池が既存の舶用ハイブリッド推進システムとうまく統合できるか検証を行う。試験運転で得られた情報をもとに、フェリーの設計を来年3月までに完了する予定で、燃料となる水素はフェリーの母港にある風力発電施設から供給される再生可能電力をもとにグリーン水素として供給される。

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December 2, 2021, Kongsberg


4.UNDP:インド国内100都市におけるプラごみ管理強化を支援

国連開発計画(UNDP)によれば、2040年までに世界のプラごみ汚染は3倍になる勢いで、年間2300万から3700万トンのプラごみが海洋に流出している。インドの国内都市は、世界でも最も汚染された都市に分類され、プラごみを組織的に管理するシステムがないので、毎年約340万トンのプラごみを排出している。このため、UNDPは2018年の事業開始以来、既に累計で8.3万トンのプラごみを回収してきたが、今後、活動の規模を3倍に拡大し、2024年までに100都市でプラごみ管理の事業を支援すると発表した。同国ではパンデミックの影響で、医療用のプラごみが増える一方で、コロナに関連する様々な規制で、通常のごみ回収活動が困難になり、有害な環境でごみを回収する人々の生活にも影響を与えている。

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December 3, 2021, Reuters


国内ニュース

1.商船三井:「モーリシャス自然環境回復保全国際協力基金」を設立
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12月1日、商船三井

2.川崎重工:液化水素運搬船がNKから船級を取得
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12月3日、川崎重工


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