国際海洋情報(2021年11月30日号)

1.DNV:船舶の遠隔運航管理センターのオペレーターの能力認証基準を発表

人工知能に裏付けられたソフトウェアと船舶と陸上運航管理センターの接続性の強化によって、船舶の遠隔・自律運航の発展が可能となり、無人運航船の運航が近い将来に実現することが期待されている。こうした技術の可能性について、人々の信頼を得て認知度を広めるためには、遠隔・自律運航船について既存船と同等の安全性を確保することが重要であるが、これらの技術に対応した機器があっても、これらの技術を実際に活用して船舶の運航を監視・支援・管理するオペレーターの資格基準が存在してこなかった。そこで、DNVはKongsberg Maritime/ Wilhelmsen/ ノルウェー海事庁などと協力して、船級協会では最初となる船舶遠隔運航管理センターのオペレーター(Remote Control Centre Operators: RCCO)の能力認証基準と船舶運航支援のために奨励される行動基準(supporting recommended practice)を作成し、11月29日発表した。

原文

November 29, 2021, DNV


2.EUROSTAT:四半期ごとの域内GHG排出量を定期的に発表へ

11月29日、欧州委員会の統計機関であるEUROSTATは、初めて、経済活動ごとの内訳を含む、2010年から2021年第2四半期までの、四半期ごとのGHG排出量の予測を発表した。今後四半期ごとに情報を発表することにより、2050年までの炭素中立目標の進捗状況を確認することが容易となる。2021年第2四半期のGHG排出量は、対前年同期比18%増のCO₂換算で8.67億トンとなり、コロナの影響を受けた2020年に次ぎ、2番目に低い値となった。分野別にみるとシェアの多い順に製造・建設業(34%)、電力(19%)、農業(14%)、交通(8%)、交通以外のサービス産業(8%)という内訳になっている。家庭からのGHG排出は、それぞれ交通(12%)と暖房等(8%)となり、すべての分野において対前年同期比で増加している。家庭からの排出量は、対前年同期比で、交通関係で1.01億トン(12%)、暖房等関係で5200万トン(6%)と増加した。

原文

November 29, 2021, Eurostat


3.欧州委員会委員長:2030年までに緑色水素のコストが灰色水素を逆転

再生可能エネルギーから製造されるグリーン水素のコストはキロあたり6ユーロ(約770円)と、天然ガスから生産されるグレイ水素のコスト2ユーロ(約260円)/kgの約3倍もするが、最近の天然ガス価格の急上昇により、価格的にもグリーン水素が灰色水素と競争しうる状況になってきたと欧州委員会委員長は発言した。EU排出権取引市場における排出権価格も最近史上最高値を記録し、エネルギー多消費型の産業にとって、化石燃料から脱却するインセンティブが増えており、このこともグリーン水素の需要を増やすことによって、規模の経済による生産コストの削減になりうる。委員長はグリーン水素の生産コストを2030年までに1.8ユーロ(約230円)/kgまで削減することが可能であり、グレイ水素のコストを逆転することが可能と発言した。

原文

November 30, 2021, Euractiv


4.ナイジェリア海事法協会:デンマーク海軍による海賊射殺事件に疑義を表明

標記声明の概要は以下のとおり。①ナイジェリア海事法協会(NMLA)はギニア湾で発生したデンマーク海軍による海賊とされる4人の射殺事件について懸念を表明する。②NMLAはギニア湾における海賊などのすべての犯罪行為を防止することを支持するが、ナイジェリアの主権・法の支配・ナイジェリア領海から25-30マイル南方の公海上で発生した偶発事件に対応する際の決められた手続き・ギニア湾の治安維持体制に従った行動がとられたか懸念がある。③従って、NMLAはこの事件が発生した正確な場所を確定し、デンマーク海軍が上記手続に従った行動をとったか独立した調査が実施されることを要求する。④さらに、ナイジェリア海事行政安全庁に対し、「2019年の海賊とその他の海事不法行為の抑止に関する法律」に従い、すべての法執行機関と民間海事関係者の間で、戦略的海上保安に関する協力関係を築くよう、包括的な海事戦略の作成と実施のための作業を開始することを求める。

原文

November 30, 2021, Dryad Global


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