国際海洋情報(2021年11月22日号)

1.デンマーク:ベルギーと独に洋上風力電力を供給

欧州諸国が化石燃料への依存から脱する一方で、気象条件によって発電能力の変動がある再生可能エネルギーに対する信頼度を向上させるためにも、洋上風力発電施設とその送電網の大規模な拡充が必要とされている。デンマークは、炭素中立化目標を達成するために、周辺の洋上風力発電施設の電力を集約するエネルギーハブを、バルト海と北海に一つずつ建設する予定で、これによって洋上風力発電能力を現在の3倍以上に拡充する予定である。一方で、ベルギーは海岸線の長さが短く、国内での洋上風力発電能力が限定されることから大規模に再生可能エネルギーを輸入する必要がある。そこで、デンマークの送電事業者のEnerginetはベルギーの送電事業者Eliaと11月23日に連携協定を締結し、北海に建設される人工島経由で、デンマークからベルギーへ送電するための最終投資決定を行うための詰めを行う。一方ベルギーのEliaが80%の資本を持つ独の送電事業者の50Hertzは、バルト海のデンマーク領Bornholm島のハブ経由で、デンマークから独へ送電する別の事業について、Energinetと連携協定を締結した。

原文

November 23, 2021, Reuters


2.MEPC 77:加盟国がGHG削減戦略修正案を次回会合に提出へ

マーシャル諸島等が提案した2050年までの海運炭素中立化目標については、米国などが支持表明した一方で、サウジ・中国などの過半数の加盟国の反対で却下された。斎藤議長は、COP 26の合意結果に基づき、GHG削減当初戦略を強化すべきというコンセンサスが加盟国にあるとして、既に決定されているように2023年に実施される戦略の再検討の場で、現在のGHG戦略に対する修正提案がされるべきと取りまとめた。最終的に、加盟国は2022年に開催されるMEPC 78に戦略の見直し案を提出することとなった。

原文

November 25, 2021, Ship & Bunker


3.北極海北航路で15隻の船舶が海氷によって2週間閉じ込められる

過去数年間は、地球温暖化の影響を受けて、10月下旬から11月の上旬は、北極海北航路を船舶が砕氷船の伴走なしで航行できる状況だったが、今年は、10月の末の段階で航路上の大部分の海域が海氷に覆われ、現在では、ラプテフ海と東シベリア海の大部分が30cm以上の厚さの海氷に覆われ、特にウランゲリ島と大陸の間の海峡部分には、厚さ1m以上の多年生の海氷が航路を封鎖している。このような状況下で、北極海では15隻の船舶が、2週間以上動きが取れない状況になっている。こうした状況に関わらず、11月の半ばまでは、1隻の原子力砕氷船のみが、動きが取れなくなった船舶の救出・伴走にあたっていたので、手が回らない状況であったので、最近もう1隻ディーゼル砕氷船が投入されたが、問題状況は完全に解消されていない。

原文

November 16, 2021, The Barents Observer


4.EU天然ガス市場見直しに関する欧州委員会提案(非公式案)

Euractiv紙が標記案を非公式入手したところ現在の案の概要は以下のとおり。①12月14日に正式に公表される予定の欧州委員会提案は、天然ガスのEU域内の規則に関する指令とガス輸送ネットワークへの参入に関する規則から構成されている。②欧州Green Dealに基づき、2050年までの炭素中立化を実現するためには、統合されたエネルギーシステムにおける再生可能エネルギーの比率を大幅に増やす必要があり、具体的には天然ガスの比率を徐々に削減する中で、バイオメタン・合成メタン・水素の比率を増やす必要がある。③しかし、これらの代替燃料は現状では大規模な供給ができないだけでなく、既存の規制によって、開発や国境を越えた輸出ができない状況にある。また現状では、消費者が市場から最も効率的な脱炭素化のための選択肢を選択できない状況にある。④提案される「天然ガス改革パッケージ」では、消費者に新たな選択肢を与え、コスト効率の良い水素経済を達成するための、EU域内水素市場の新たな枠組みを創設することを目的とする。⑤炭素中立化のためには、エネルギーの電化を進め、2050年には、電力のシェアは現在の2倍の53%に達すると見込まれるが、残りは電力以外のエネルギーで補う必要がある。

原文

November 23, 2021, Euractiv


国内ニュース

1.Class NK: パナマ政府とサイバーセキュリティに関する包括連携協定を締結
原文

11月25日、Class NK


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