国際海洋情報(2021年11月8日号)
1.COP 26:主たる結果概要
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2.COP 27はエジプトで気候変動に対する防災に焦点をおいて開催
国連の地域間ローテーションシステムによれば、次回のCOPはアフリカ諸国で開催されることとなり、11月11日に、来年のCOP 27は、英国が今年1月に立ち上げたAdaptation Action Coalitionのメンバーであるエジプトで、再来年のCOP 28はUAEで開催されることが決定された。環境活動家は、アフリカでCOPを開催することによって、アフリカ諸国が直面している深刻な気候変動の影響に関する世界的な認識を広め、気候変動適応対策と気候変動による損害の問題について、多くの支援が得られることを期待している。COP 27では、気候変動適合対策の地球的課題(global goal on adaptation)と2025年以降の気候変動経済支援目標(climate finance target)が中心的課題となる見込み。
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November 12, 2021, The Climate Home News
3.企業経営者にとっての炭素中立計画に盛り込むべき要素
(論説)英国の財務大臣はCOP 26で、英国の上場企業に対して、2023年までに炭素中立計画を作成し公表することを義務付けることを表明したが、世界各国の規制当局が同様な義務を企業に課すのは時間の問題である。この炭素中立計画に含むべき要素としては以下のとおり。①監督官庁によって課せられる事業分野別目標に従い、Scope 1/2/3の分野ごとに、短期(2025年まで)・中期(2030年まで)・長期(2050年まで)の科学的に裏付けられた排出削減目標。②各企業のポートフォリオごとに、気候変動関連のリスクと機会について、競争的側面・環境的側面を考慮に入れた戦略。③既存のエネルギー多消費型の資産から、CO₂排出量を削減するための転換資金コスト(高品質の炭素オフセットクレジットの購入も含む)の見積。④エネルギー転換に関する外部条件の変化をモニターし、自社の計画を見直し・実行するための意思決定をする能力を形成するための計画。
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November 12, 2021, McKinsey
4.キリバツ政府が世界最大級の海洋保護区を指定解除へ
キリバツが管轄するフェニックス海洋保護区(PIPA)は世界遺産で40万㎢と世界最大級の面積を持ち、米国の海域と接している。キリバツ政府は、海洋保護区を解除すれば年間2億ドルのマグロ漁の入漁料収入を得られることを解除の理由として、既に指定解除を閣議決定して、国際的な関係者に2週間前に通知した。この政府決定には中国の関与が懸念されている。同国政府は、中国政府から6600万ドルの資金援助を受ける見返りとして、23年間にわたる台湾との国交を2019年に断交して、中国と外交関係を結んでいるが、PIPAは中国のマグロ漁業にとって魅力的であるばかりでなく、米軍の基地に近いという意味においても戦略的に重要である。中国は以前に米国領であったカントン島の滑走路の改良事業などを支援することを約束しており、キリバツ政府は、同滑走路の軍事転用は否定しているものの、中国の影響力が強化され、さらに、豪を中心とする太平洋諸島フォーラムからの離脱も示唆し、国際的な孤立の道を歩んでいる。
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November 11, 2021, 1 News
Webinar情報
1.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/