国際海洋情報(2021年11月5日号)
1.海運に対するMBMの選択肢に関する経済的比較
原文
2.WMO:State of the Climate in the Southwest Pacific in 2020
11月10日、世界気象機関(WMO)がCOP 26で標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①南西太平洋では、2020年後半にラ・ニーニャが発生したが、史上2番・3番目の高温となった。②1993年以来、世界的に海洋の温暖化の速度は、2倍以上に加速化しているが、南西太平洋海域では、世界平均の3倍以上の速度で温暖化が進んでいる。③2月には、豪のGreat Barrier Reefで1961年から1990年までの平均海面温度より、1.2℃高い史上最高の温度を観測し、過去5年間で3度目となる大規模なサンゴ礁の白化が発生した。④海洋の温暖化・低炭素化・酸性化によって、魚類や動物プランクトンが、より高緯度の海域に移動するため、伝統的な漁業が影響を受け、1990年から2018年にかけて、バヌアツでは75%、トンガでは23%漁獲量がそれぞれ減少した。⑤衛星での観測が可能となった1990年代以降、世界の海面は年間平均で3.3mm上昇しているが、北インド洋や太平洋の西部熱帯地域では、世界平均よりはるかに速いペースで海面上昇が進んでいる。
原文
November 10, 2021, WMO
3.19か国が2025年までに脱炭素海上貿易ルートを作る宣言に署名
11月10日、COP 26で日・米・英等の19か国が、世界の海運の脱炭素化を促進するために、2025年までに6ルート以上の脱炭素海上貿易ルートを創設することに合意するClydebank Declarationに署名した。具体的にはこのルートに位置する港湾において、脱炭素燃料の供給を可能とし、法的枠組みに従った供給インフラの整備を行う。米国の運輸長官は、2050年までの炭素中立を目標とするようIMOに圧力を加え続けると語り、IMO事務局長も6日、最近の国際的な動向に対応して、IMOのCO₂削減目標をさらに改善する必要があると語った。マースクタンカーのCEOは、デジタル技術を駆使してCO₂の排出量を削減するために、過去3年間に既に3000万ドルを投資したと語り、参加政府に対し、法的整備のみならず、脱炭素燃料が大規模に供給されるよう支援してほしいと語った。日・英・米以外では、豪・ベルギー・加・チリ・コスタリカ・デンマーク・フィジー・フィンランド・仏・独・アイルランド・マーシャル諸島・蘭・NZ・スウェーデンが署名した。
原文
November 10, 2021, Reuters
4.COP 26:石炭火力の使用停止と途上国の気候損害に対する先進国の補償が焦点に
COP 26は11月12日に終了する予定だったが、石炭火力の使用停止と、気候変動によって途上国が受けた損害に対して先進国が資金援助(補償)を行うかの2点をめぐって、結論が得られず、会期が延長された。13日に発表された最終合意案における「CO₂回収装置がない石炭火力発電と非効率な化石燃料に対する政府補助の段階的撤廃に向けた努力を加速化する。」という表現は、骨抜きであると環境団体から非難される一方で、中国とサウジアラビアはさらに、化石燃料に対する政府補助に関する記述を削除しようと依然として抵抗している。一方で、途上国における「気候変動による損害」に対する先進国による補償の問題については、最終案は、先進国による補償基金を設立する代わりに、「先進国と途上国間で資金支援のための話し合いを来年開始する。」という具体的な資金援助の仕組みに触れない内容となっており、途上国は強く反発している。
原文
November 13, 2021, BBC
Webinar情報
1.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/