国際海洋情報(2021年11月2日号)
1.COP 26:現時点におけるGHG削減見込状況
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2.2021年のCO₂排出量は、石炭の消費量の増加によって過去最高に
11月3日、The Global Carbon ProjectがEarth System Science Data誌に発表した新たな情報によれば、中国とインドにおける石炭消費量の増加によって、今年の化石燃料によるCO₂排出量は対前年比5%増加して、パンデミック以前の水準に戻ることが見込まれる。石炭の消費量は、2014年以来継続して減少してきたが、今年は増加に転じて、2019年の水準を上回る見込みで、天然ガスの消費量も世界的に急増している。
一方、石油の使用量は、航空・陸上輸送の実績がパンデミック以前に戻っていないので、CO₂排出量も減少している。国別にみると、中国のCO₂排出量はパンデミックにもかかわらず、2020年ですら増加したが2021年も増加し、インドも本年は経済成長が加速し、CO₂排出量も2019年を上回る見込み。特に中国の石炭からのCO₂排出量は76Mtに達し、他のすべての国の石炭からのCO₂排出量の合計を上回っている。
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November 3, 2021, Inside Climate News
3.富裕層の生活様式が地球温暖化を促進
慈善団体のOxfamが欧州環境政策研究所(IEEP)とストックホルム環境研究所(SEI)に委嘱し、11月5日に発表した研究によれば、パリ協定の1.5℃目標を達成するためには、人類一人当たりが年間に排出するCO₂の量を、2030年までに現状の約半分の2.3トンまで削減する必要があるが、世界の中で富裕な上位1%の階層に属する人々は、現在の生活様式を変更しなければ、2030年までに一人当たり、年間70トンのCO₂を排出することが分かった。この富裕層が排出するCO₂のシェアは、1990年には13%だったが、2030年には16%に拡大する見込み。一方で、収入が相対的に下位の半分を占める人たちは、年間で平均して排出するCO₂の量が1トン以下であることが分かった。今回のCOPにも、英国のジョンソン首相・チャールズ皇太子をはじめ多くの代表がプライベートジェットでやってきているが、Oxfamはこうした富裕層の人々が自らの生活様式を変えて、率先してCO₂排出を削減し、自身の影響力と経済力を行使して、green economyの実現を支援すべきであるとしている。
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November 5, 2021, The Guardian
4.IMO:Ship’s Biofouling on Greenhouse Gas Emissions
IMOが標記報告書(速報版)をCOP 26に提出したところその概要は以下のとおり。①船長175mのばら積み船の船底の50%に0.5mmの生物の膜が付着した場合、当該船舶の運航に伴い排出されるCO₂の量は25%増加する。②船長230mのコンテナ船の船底の10%に2.5mmのフジツボの層ができた場合は、CO₂排出量は34%増加する。③船長320mのタンカーの船底の1%に5mmのフジツボの層ができた時は、CO₂排出量が55%増加する。④このようにbiofoulingが運航・燃費効率およびCO₂排気量に与える影響を海運業界はこれまで低く見積もってきた。⑤最終報告書は、来年2月に発表される見込み。
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November 4, 2021, IMO
Webinar情報
1.COP 26: Virtual Ocean Pavilion
October 31-November 12
https://cop26oceanpavilion.vfairs.com/en/registration-form
2.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/