
国際海洋情報の内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、二次使用の際は国際海洋情報からの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。
国際海洋情報(2021年11月1日号)
1.COP 26:46か国が石炭火力発電の使用中止に合意
原文
2.IEA:COP 26の合意が完全実施されれば地球温暖化を1.8℃以内に抑制可能
COP 26の成果について悲観的な見方が広がっているが、国際エネルギー機関(IEA)の事務局長は、これまでにCOP 26で約束されたことが全て実現されたら、地球の気温上昇を1.8℃以内に抑制することが可能であるとCOP 26で表明した。これに対し、国連の気候変動問題担当の事務局長補は、現在提出されている国家排出削減目標(NDCs)に従えば、地球の気温は2.7℃上昇することが見込まれており、パリ協定の1.5℃目標達成からは程遠い状況にあり、IEAの見通しは楽観的すぎると反論した。環境団体・学識経験者等は、石炭火力発電所を段階的に廃止することに合意したPowering Past Coal Allianceには、豪・加・中・印・米などの石炭依存大国が参加していないことや、ポーランドが廃止期限を2049年まで引き延ばしたことに対して、十分な合意でないと批判を強めている。米国の報道官は、同国は2035年までに発電部門の脱炭素化を大統領が決めており、同国に対する批判は当たらないとコメントしている。
原文
November 4, 2021, The Guardian
3.米内務長官:COP 26で洋上風力発電の開発の促進を表明
米国内務長官は、COP 26において、バイデン政権は、地球温暖化対策として、2035年までに発電部門を脱炭素化するために、黎明期にある洋上風力発電事業に対する支援を今年に入ってから強化しており、具体的には、2030年までに、1000万世帯分の電気を供給するために30GW分の洋上風力発電施設を米国の沿岸に建設すると表明し、各国にも洋上風力発電の積極的な整備を呼びかけた。しかし、30GWというのは、欧州全体で、20年かけて整備してきた洋上風力発電施設の規模とほぼ同じで、現在、小規模な洋上風力発電ファームが2か所あるだけの米国にとって、簡単に達成できる目標ではない。
さらに記者会見では、洋上風力発電施設を建設するための環境影響評価に関する手続きや漁業団体の反対などで、迅速かつ大規模な洋上風力発電施設の開発は難しいのではないかという質問に対し、同長官は「これは政権の優先事項で、やり遂げるしかない。」としか返答できなかった。
原文
November 5, 2021, Reuters
4.High Ambition Coalition COP 26 Leader’s Statement
27か国の首脳による標記宣言中の具体的な要求事項の概要は以下のとおり。①CO₂回収機能のない新規石炭火力発電所の新設の停止。②CO₂回収機能のない既存の石炭火力発電所を、気温上昇を1.5℃以内に抑制するのに必要なペースで削減。③海外におけるCO₂回収機能のない石炭事業への公的支援の停止。④化石燃料への非効率的な国家助成の即時停止。⑤2030年までに2020年実績比でメタンの排出量を最低30%削減。⑥代替フロン(HFC)や黒鉛(black carbon)を含むすべての超大気汚染物質の積極的な排出削減。⑦海運・航空分野を含む交通分野におけるより野心的なCO₂の削減。⑧気候変動の影響に対して脆弱な途上国のニーズを踏まえた国家気候適応計画の作成・提出。⑨先進国が途上国に対して年間1000億ドルの支援を2025年まで実施。
原文
October 29, 2021, High Ambition Coalition
Webinar情報
1.COP 26: Virtual Ocean Pavilion
October 31-November 12
https://cop26oceanpavilion.vfairs.com/en/registration-form
2.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/