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週刊国際海洋情報(2021年10月30日号)

1.LA/LB港がコンテナ船社からコンテナ超過滞留料金を徴収することを決定

ロングビーチ港とロサンゼルス港では、夏から記録的な港湾の混雑が続き、状況はさらに悪化し、コンテナターミナルにおけるコンテナの滞留が、コンテナ船の荷役を遅らせ、沖合に大量のコンテナ船が滞船する一方で、米国の荷主は船積みを長く待たされる状況が続いているが、ターミナルに滞留しているコンテナの搬出を促すため、両港は、10月29日、港湾ターミナルに一定期間以上超過滞留しているコンテナについて、コンテナ船社から「コンテナ超過滞留料金」を徴収することを決定した。具体的には、トラックで搬出されるコンテナには9日間、鉄道で搬出されるコンテナについては6日間の無料搬出待ち期間を認め、この期間を超過したコンテナ1個に対し、1日当たり、100ドルのコンテナ超過滞留料金をコンテナ船社から徴収する。新制度は、11月1日から適用されるが、実際の料金の徴収は11月15日以降から開始され、15日までに事態が改善されれば、新料金の適用を見送ることもできる。

原文
October 29, 2021, Port of Long Beach

2.UNSG世界都市の日メッセージ:都市の気候適応・防災対策の強化を訴える

10月31日の「世界都市の日(World Cities Day)」の国連事務総長のメッセージの概要は以下のとおり。①気候変動に伴う海面の上昇によって、2050年までに沿海域の都市に住む8億人の住民の生活が脅かされるにもかかわらず、現状では、世界の都市に投入される気候変動関係の予算の9%しか、発展途上国の都市の気候変動適応対策・防災対策に充てられていない。②世界では、10億人を超える人々が、非公式な開拓地で生活し、そのうちの7割の地域は気候変動に伴う異常気象の危険にさらされている。③このような状況を変革するためにも、すべての気候変動関連の予算の半分は適応対策に充てられるべきである。④気候変動に適応し、住民の生命と生活を守るために、災害に対して強いインフラの建設・早期警報システムの導入・自然災害リスクを緩和するための財政的な手当てを講じる必要がある。

原文

October 30, 2021, 国連


3.IRENA:Renewable Energy and jobs – Annual Review 2021

多くの政府は、GHGの排出量を削減し世界的な気候変動関連目標を達成するためだけではなく、新規雇用の創出などの広範な社会経済的な利益も目指して、再生可能エネルギーの開発を優先的に進めている。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、2013年以来、世界的に再生可能エネルギー関連の雇用について調査しているが、2012年に再生可能エネルギー関連の労働者数は730万人だったが、2020年には、直接的・間接的に約1200万人が、全世界で再生可能エネルギー関連産業に雇用されており、再生可能エネルギー産業関連の雇用は継続的に拡大している。具体的には、電力網に接続している大規模な太陽光パネル発電施設や、遠隔地やエネルギーが十分に供給されていない地域の農業・食品加工・医療健康管理のために重要な発電網に接続されていない独立の太陽光パネル発電施設も含めて、合計で約400万人が雇用されている。風力発電については、洋上風力発電施設の運転や保守管理を含めて雇用数は増えており、125万人となっている。

原文

October 21, 2021, IRENA


4.WMO:State of Global Climate 2021 Provisional Report

10月31日、世界気象機関(WMO)が2021年の1月から9月の地球の気象の状況を速報した標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①年初に発生したラ・ニーニャ現象の一時的な寒冷化効果のせいで、2021年は過去最高の気温ではなくて、過去5番から7番目の気温となる見込みだが、これによって長期的な地球の温暖化が反転したわけではない。②2013年から継続している海面の上昇は2021年には最高となり、海水温の上昇と海洋の酸性化も継続している。③以上の気象状況により、食糧危機・食料難民・生態系への深刻な影響が発生し、SDGs達成に悪影響を与えている。④異常気象事例としては、グリーンランドの氷床の頂上に雪ではなくて初めて雨が降り、カナダの氷河の融解速度が増し、カナダ・米国北西部の熱波はBritish Columbia州で約50℃に達し、California州のDeath Valleyでも54.4℃を記録し、地中海沿岸も記録的な猛暑となり大規模な森林火災が発生した。

原文

October 31, 2021, WMO


5.COP 26:欧州委員会委員長の演説の概要

欧州委員会委員長の演説の概要は以下のとおり。①地球気温の上昇を1.5℃以内に抑制することは、人類の義務で、欧州は世界で最初の炭素中立大陸になるためできることは何でもやる。②2050年炭素中立を達成するために、2030年までに必要な排気削減を実施しなければならない。③このため、地球規模での炭素排出権取引市場の創設など、きちんとしたルールの枠組みに合意する必要がある。④また、途上国における気候変動対策を支援するために、2020年にEUは270億ドルを負担することを決定しており、その半分は、途上国が望む気候変動適応対策に支出する。⑤さらに、2027年まで年間50億ドルを追加負担するとともに、生物多様性リスクに脆弱な国に重点をおいて、生物多様性保存のための予算も倍増する。⑥我々の子供のためにも、我々はこの会合を成功に導かなくてはならない。

原文

November 1, 2021, 欧州委員会


6.COP 26:米国大統領演説の概要

米国大統領演説の概要は以下のとおり。①すべての政府が決意と野心をもって、気候変動問題に取り組み、地球の気温上昇を産業革命以前と比べて1.5℃以内に抑制できるか否かがCOP 26の課題である。②記録的な猛暑や干ばつが、激しい山火事を引き起こし、農業生産に損害を与え、記録的な洪水や100年に1回クラスの台風が数年ごとに発生しており、米国は過去数か月で、すべての自然災害を経験したが、こうした異常気象は、パンデミックと同じで、国境を越えた災害である。③我々は今歴史的な転換点にいて、エネルギー転換によって、多くの新たな就業・事業機会が発生し、きれいな空気・豊かな海洋・健康な森林と生態系を子供の世代に残すことができる。④我々は現在エネルギー価格の高騰に見舞われているが、この機会に化石燃料に後戻りすることなく、エネルギー転換への良い機会ととらえるべき。

原文

November 1, 2021, The White House


7.ECSA:EU ETSの中に海事気候基金の分離設立を要望

欧州船主協会(ECSA)は、11月2日、海運がEU排出権取引制度(ETS)に取り込まれるにあたっての、ECSAとしての考え方を発表したところその概要は以下のとおり。①海運から徴収された排出権に関わる収入は、EU ETSの一般的な収入とせずに、個別のMaritime Climate Fund(海事気候基金)として別に分離管理し、海運産業のエネルギー転換支援に限定使用し、特に、代替燃料と既存燃料の価格差の補填に使用されるべきである。②排出権の購入コストは、海運会社が負担するのではなく、「汚染者負担の原則」からコストは荷主が負担するべきである。負担の転嫁の方法としては、第一に、EU ETS指令の履行責任を負う「企業」の定義を変更して、履行責任者を海運会社ではなく、荷主とする方法と、第二に、海運会社と荷主との間の輸送契約の中に、排出権のコストは荷主が負うことを明記することを法律上義務付ける方法が考えられるが、ECSAとしては、第二の方法が好ましいと考える。

原文

November 2, 2021, ECSA


8.ICS:A zero emission blueprint for shippingを発表

国際海運会議所(ICS)が、11月3日、Ricardoに作成させた標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①国際エネルギー機関によれば、現在、舶用燃料に占める低炭素燃料の比率は0.1%にすぎず、現在の政策を続ければ、2030年の時点でも3%以下、2050年でもやっと1/3程度に達するにすぎず、炭素中立目標にはるかに及ばない見通し。②本報告書では、海運の脱炭素化への移行を開始し加速化するために、克服することが必要な技術的・制度的な265の課題を特定した。③その中でも直ちに投資を始める必要がある20の最優先事業に焦点を当てて検討した。④脱炭素化に必要な新たな技術を商用化の手前の段階まで開発するのに、50億ドルが必要とされる。⑤これらの技術を実用化するためには、1年から6年かかるため、2030年までに多数のゼロエミ船を就航させるためには、速やかな行動が必要とされる。

原文

November 3, 2021, ICS


9.INTERCARGO:MEPCに向けて脱炭素に関する基本的立場を表明

国際ドライカーゴ船主協会(INTERCARGO)が標記立場を発表したところその概要は以下のとおり。①船主が2050年までの脱炭素化を実現するためには、低・ゼロ代替燃料とそれに対応する機関に関する商業的な技術開発や当該代替燃料の供給インフラの整備が加速化される必要がある。②脱炭素化の具体的な措置は、世界共通の措置として、IMOにおいて審議されるべきで、IMO加盟国は、脱炭素技術の研究開発を加速化するのに必要な措置を採択し、速やかに実行すべきである。③INTERCARGOは、世界的な船舶炭素排出課税について、10月に開催されたIMOのGHG中間作業部会に、ICSとともに包括的な提案を行った。④さらに、脱炭素化の研究開発を促進するための短期的な施策として、INTERCARGOが共同提案している国際海事研究開発審議会(IMRB)の設立が、次回MEPCで速やかに承認されるべきである。

原文

November 4, 2021, INTERCARGO


10.COP 26:First Movers Coalitionが結成

米国政府と世界経済フォーラムが主導して、いまだ実用化されていない革新的な技術を利用する経済的な力がある世界の主要先進企業25社が、First Movers Coalition (FMC)を結成したことが、11月4日、COP 26で発表された。FMCは鉄鋼・トラック輸送・海運・航空・セメント・化学といったエネルギー多消費型で電化による炭素中立化が難しい7分野と、大気中から直接GHGを回収する技術の8分野を重点技術開発分野としている。早速、鉄鋼・トラック輸送・海運・航空の4分野について、第1段階の分野別の約束(commitments)を決定し、実行段階に入った。海運分野については、マースクなどの参加海運会社は、2030年までに、外航船が使用する船舶燃料の5%以上をゼロエミ燃料とし、同燃料を使用できる船舶を使用すること。参加荷主企業は、2030年までに、外航海運で輸送する貨物の10%以上をゼロエミ船で輸送し、2040年までにこの比率を100%に引き上げることが約束されている。

原文

November 4, 2021, 米国国務省


その他のニュース

1.気候変動緩和対策
 (ア)CO₂削減目標と実績
  ①G20
   G20首脳会議:環境問題について新たな具体的な進展なし 原文1/11
 (イ)COP26
  ①途上国に対する財政支援
   イタリア政府:気候変動関連資金支援を3倍増にすることを発表 原文1/11
   UNSG: Climate Vulnerable Forum Dialogue演説要旨 原文2/11
 (ウ)Green Finance
  ①Climate Investment Coalition
   COP 26: 気候投資連合が2030年までに1300億ドルを投資 原文2/11
  ②Glasgow Financial Alliance for Net Zero
   Glasgow Financial Alliance for Net Zero: 炭素中立へ100兆ドル投資 原文3/11
 (エ)カーボンオフセット
  ①森林の果たす役割
   UNESCO: 世界遺産の森林が気候変動の緩和に大きな役割 原文28/10
 (オ)発電部門の排出規制
  ①米国
   米最高裁:発電所からのGHG排出規制権限について検討 原文29/10
2.エネルギー転換
 (ア)化石燃料一般
  ①海外への投資の停止
   COP 26: 20か国が海外の化石燃料事業への金融支援停止に合意 原文4/11
3.再生可能エネルギー
 (ア)大規模蓄電施設
  ①LDES
   COP 26: Long Duration Energy Storage Councilが発足 原文5/11
4.物流全体
 (ア)サプライチェーンの脱炭素化
  ①ロードマップ
   サプライチェーンの脱炭素化: 中小企業へ50兆ドルの投資が必要 原文27/10


Webinar情報

1.COP 26: Virtual Ocean Pavilion
October 31-November 12
https://cop26oceanpavilion.vfairs.com/en/registration-form

2.COP 26: Virtual Ocean Pavilion
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/


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