国際海洋情報(2021年10月28日号)
1.ECSA:EU ETSの中に海事気候基金の分離設立を要望
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2.UNSG:Climate Vulnerable Forum Dialogue演説要旨
国連事務総長の標記会合における演説の要旨は以下のとおり。①早期警報システムが住民の生命を救い、climate-smartな農業やインフラは就業機会を確保するように、すべての気候変動に対する支援の半分は気候変動適応対策に充てられるべきであるが、現状では、気候変動に関する支援の1/4の201億ドルしか気候変動適応対策に回されていないが、途上国における気候変動適応対策に必要な経費は、2030年には3000億ドルになると見込まれている。②先進国は途上国に対して、年間1000億ドルのclimate financeを実施することを約束しているが、この約束が実現されるのは2023年になる見込みである。③一方で、コロナ復興対策を見れば、先進国はGDPの約28%を投入できた一方で、中進国は同6.5%、後進途上国は2%以下しか復興資金に回せず、脆弱な国に対する資金支援は焦眉の急である。④現在提出されている改訂後のNDCsによっても、今世紀末までに2.7℃も気温が上昇することが予測されており、世界のGHGの8割を排出しているG20がさらにNDCsの積み上げを図る必要がある。
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November 2, 2021, 国連
3.ICS:A zero emission blueprint for shippingを発表
国際海運会議所(ICS)が、11月3日、Ricardoに作成させた標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①国際エネルギー機関によれば、現在、舶用燃料に占める低炭素燃料の比率は0.1%にすぎず、現在の政策を続ければ、2030年の時点でも3%以下、2050年でもやっと1/3程度に達するにすぎず、炭素中立目標にはるかに及ばない見通し。②本報告書では、海運の脱炭素化への移行を開始し加速化するために、克服することが必要な技術的・制度的な265の課題を特定した。③その中でも直ちに投資を始める必要がある20の最優先事業に焦点を当てて検討した。④脱炭素化に必要な新たな技術を商用化の手前の段階まで開発するのに、50億ドルが必要とされる。⑤これらの技術を実用化するためには、1年から6年かかるため、2030年までに多数のゼロエミ船を就航させるためには、速やかな行動が必要とされる。
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November 3, 2021, ICS
4.Glasgow Financial Alliance for Net Zero:炭素中立へ100兆ドルを投資
国連のHigh Level Climate Action Championsが委嘱した調査結果によれば、世界経済を炭素中立化するために必要な投資の7割は民間金融機関が提供することになるが、世界の経済活動を脱炭素化し、2050年までの脱炭素化を目指す運動である「国連Race to Zero」の一環であるGlasgow Financial Alliance for Net Zero (GFANZ)に参加する銀行・保険会社・年金基金・資産管理会社の数は、COP 26の議長国である英国と、G 20の議長国であるイタリアのイニシアティブによって、これまでの25倍の規模の、世界の45か国の450社に拡大し、その総運用資産額は130兆ドルに上るが、2050年までに、炭素中立達成を実現するために、100兆ドルを投資すると11月3日発表した。参加金融機関が世界経済の炭素中立化を支援するために必要な情報・手段・市場を大きく強化するために、GFANZはCOP 26に24の主要なイニシアティブを提案している。
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November 3, 2021, GFANZ
国内ニュース
1.商船三井:ヴァーレ社と風力推進「ローターセイル」搭載で連携
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11月2日、商船三井
Webinar情報
1.COP 26: Virtual Ocean Pavilion
October 31-November 12
https://cop26oceanpavilion.vfairs.com/en/registration-form
2.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/