国際海洋情報(2021年10月21日号)
1.欧州エネルギー担当大臣会合 :天然ガスの共同購入提案を見送り
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2.世界メタン誓約:豪は反対・NZは賛成も
豪は今週、2050年までの炭素中立を表明したが、2030年までにメタンの排出量を30%削減するという、米・EUが主導する「世界メタン誓約」に対しては、食肉・畜産・石炭生産業への影響を考慮して、反対すると28日首相が表明した。一方、輸出の20%を乳製品に依存し、畜産・羊毛業への影響が懸念されるNZは、誓約に参加することを前向きに検討していると同国気候変動省は表明している。NZはNZ製の乳製品に対する世界の需要に応えるため、乳牛の数を630万頭と過去30年間に倍増させ、この結果NZにおいては、農業と廃棄物産業から排出されるメタンの排出量が、同国が排出するGHG全体の40%以上を占めている。
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October 28, 2021, Reuters
3.中国:GHG削減に関する国家目標の更なる積み増しはせず
パリ協定の加盟国は、31日から開始されるCOP 26に先立ち、既存の国家目標(NDC)の見直しを行うことが求められているが、中国政府が国連事務局に正式に提出し、事務局が10月28日公表した同国のNDCによれば、 ①2060年までに気候中立化し、②2030年までにGHGの排出量を減少に転じ、③単位GDPあたりの炭素密度を2030年までに65%削減し、④風力と太陽光発電能力を1200GW以上にすることが表明された。今回の新たなNDCは既存の2015年に発表されたNDCと比較すれば改善されているが、2020年12月に習主席が発表した内容と同じで、NDCの更なる上積みは実現しなかった。
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October 28, 2021, Politico
4.COP 26:2050年脱炭素化のためには海運のGHG削減戦略の見直しが必要
ロンドンで開催された世界海事フォーラムにおいて、COP 26で業界代表を務めるロイズ船級協会の気候変動担当者は、ロイターの取材に対し、「既存のIMOのGHG削減戦略では、2008年実績比でGHGの排出量を50%以上削減するとされているが、COP 26で2050年までに全体として炭素中立化をめざすことに合意すれば、交通分野抜きでは、全体目標の達成が困難となるため、既存のIMOのGHG削減戦略では不十分となる。」と語った。9月には、海運会社・港湾管理者・石油メジャーなどの先進的な200以上の組織が連携して、2050年までの海運脱炭素化を達成すると表明しており、COP 26の議長国である英国を含む多くのIMO加盟国も2050年までの海運脱炭素化に対し支持を表明している。IMO事務局長は、26日、IMO加盟国は、GHG削減戦略の目標の引き上げも含め、広範な検討を既に開始していると語った。
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October 28, 2021, Reuters
国内情報
1.商船三井:LNG燃料船からのメタンスリップ削減技術の開発
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10月27日、商船三井
Webinar情報
1.COP 26: Virtual Ocean Pavilion
October 31-November 12
https://cop26oceanpavilion.vfairs.com/en/registration-form
2.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/