国際海洋情報(2021年10月19日号)
1.欧州委員会:メタン排出削減戦略を発表
原文
2.COP 26:石油メジャー等が上位スポンサーとなることを拒否される
化石燃料関連企業が文化・芸術活動のスポンサーとなることに反対する活動をしているNGOのCulture Unstainedが情報公開制度を利用して、英国政府から得た情報によれば、BP/Equinor/Shellといった化石燃料生産大手企業が、COP 26の上位のスポンサーとなるために、英国政府のCOP 26担当部局に様々な働きかけをしていたことが判明した。しかし、英国政府はこれらの化石燃料企業は、「強固な気候変動に関する信用力」がないとして、スポンサーとすることを見送った。ここでいう「強固な気候変動に関する信用力」とは、「2050年までに炭素中立を達成する目標を掲げ、検証された科学に基づく目標(verified science-based targets)など、炭素中立目標を達成するための信頼できる計画を持つこと」とされており、化石燃料生産大手企業はこの基準を満たしていないとして、上位スポンサーとなることが認められなかった。
原文
October 22, 2021, edie
3.欧州における地熱発電の可能性
建物の暖房に使用されるエネルギーはEU全体のエネルギー消費量の約4割を占めるとともに、GHGの排出量の36%を占めており、欧州グリーンディールに従い、2050年までに炭素中立を達成するために、暖房の脱炭素化の成否が重要な鍵となっている。地熱発電は、24時間通年でベースとなる電力を供給しながら、風力や太陽光などの可変的な再生可能エネルギーとの併用も可能であり、欧州ではトスカーナ地方のピサとかシエナなど、イタリア国内に最も多くの地熱発電施設を抱えるが、ミュンヘン・パリ・ウィーンなどの大都市でも、近年、地熱発電を活用することを検討している。しかし、欧州委員会では、今までは地熱発電はあまり重要視されておらず政策的な支援策がない一方で、米国・トルコ・インドネシア・中国などの国々では、国のエネルギー計画の中できちんと地熱発電が位置付けられており、欧州において地熱発電が家庭暖房の脱炭素化に貢献するためには、欧州委員会においても諸外国並みの政策的な位置づけが必要となる。
原文
October 25, 2021, Euractiv
4.ラ・ニーニャ現象の発生でエネルギー危機がさらに悪化の見通し
赤道上の貿易風が強くなって、太平洋の深層から冷たい海水が海面に上昇することによって発生するラ・ニーニャ現象は、通常北半球の平均気温を引き下げるので、気象予測機関は今年の冬は寒い冬になると予想している。最大のエネルギー消費国である中国は、既に燃料価格の上昇や電力不足とそれに伴う工場の操業制限と戦っているが、今年の冬が例年より寒くなると暖房のためのエネルギー需要がさらに強まり、エネルギー価格がさらに上昇することが予想される。中国東部の大部分では、すでに先週気温が下がり、北部ではすでに平年より寒い気温となっている。黒竜江省・陝西省・山西省ではすでに冬季の暖房が必要な季節に例年より、4日から13日早く突入している。日本でも来月から平年より低い気温になると気象庁は予想している。
原文
October 24, 2021, gCaptain (Bloomberg)
Webinar情報
1.COP 26: Virtual Ocean Pavilion
October 31-November 12
https://cop26oceanpavilion.vfairs.com/en/registration-form
2.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/