国際海洋情報(2021年10月18日号)
1.タグボートが欧州で1000海里の自律運航に成功
原文
2.EU首脳会合:東欧諸国が既存のエネルギー政策の見直しを求める
EU首脳会合に先立ち、ポーランドは加盟国にFit for 55政策の見直しを求める書簡を送っていたが、首脳会合ではハンガリーやチェコの首相をはじめとする東欧諸国が、欧州排出権取引制度をはじめとする既存のエネルギー政策がエネルギー価格の高騰を招いているとして、エネルギー政策の見直しを強く迫った。これに対し、独のメルケル首相をはじめとする西欧諸国は、エネルギー価格の高騰とエネルギー政策とは峻別して議論すべきとして見直しに反対した。具体的には、ポーランド・チェコ・スペインの各政府は、金融投機家がETS市場に参加することによって、排出権の価格が不当に吊り上げられているとして、金融投機家の市場参加を制限するよう主張しており、妥協案として、欧州首脳は欧州委員会に対して、欧州証券市場監督局と協力して、天然ガス・電力の市場と欧州排出権取引(EUETS)市場が正常に機能しているか調査し、規制の強化が必要か評価することを要請することとなった。
原文
October 22, 2021, Euractiv
3.ICS:IMO ISWG-GHG 10の結果について前向きの評価
10月18日から開催された表記会合の結果について、国際海運会議所の事務局次長がコメントしているところその概要は以下のとおり。①外航海運に現実的な炭素税を課し、炭素中立への移行を加速するための市場原則に基づく措置(MBM)の設計について、率直な意見交換がされたことを歓迎する。②今回の会合では、世界的な規制の枠組みの中で、海運にどのように炭素課税が適用されるかについて理解を深め、地域的・国単位での対策がうまく機能しないかについて一般的に認識された。③太平洋諸国の提案と多くの共通点を持つ、ICSとINTERCARGOによる世界共通の炭素課税に関する包括的な提案について政府が詳細な検討を始めたことを評価する。④発展途上国により懸念が表明された炭素課税導入に伴う経済的な影響について検討しながら、IMOの場でMBMについてさらに審議が進むことを期待する。⑤次のステップとしては、それぞれのMBMの提案国が、当該MBMが海運活動のコストに与える影響評価を提出することとなる。
原文
October 22, 2021, ICS
4.COP 26:航空・鉄鋼・海運業界のCEO達が脱炭素化達成のための支援を要請
電化による脱炭素化が最もしにくいエネルギー多消費型の産業としては、航空・鉄鋼・海運・セメント・アルミニウム・自動車貨物輸送・化学の7分野があげられ、合計で世界のGHGの約3割を排出している。しかし、航空・鉄鋼・海運などの業界トップが最近次々と、政府から適切な支援を受けられるなら、脱炭素化を目標とすることを宣言している。但し、脱炭素化の実現のためには、燃料供給網の変更・技術開発・代替燃料・電化などのために多額の初期投資が必要で、政府支援と新たなエネルギー源に投資するための政策的な確実性が必要となる。また、公正な競争条件を確保し、責任を果たさずに先行者の果実にただ乗りする企業を排除するための世界的な炭素課税や炭素国境調整課税制度の導入も必要となる。これらのCEO達は、COP 26が脱炭素化に乗り出すための変革の起点となることを期待している。
October 21, 2021, energy post.eu
Webinar情報
1.COP 26: Virtual Ocean Pavilion
October 31-November 12
https://cop26oceanpavilion.vfairs.com/en/registration-form
2.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/