国際海洋情報(2021年10月15日号)
1.COP 26:環境関連法案をめぐる米国内の政治混乱が米国の指導力に影響
原文
2.G7貿易大臣会合:サプライチェーンの混乱解消の即効薬なし
10月22日、G7の貿易大臣会合がロンドンで開催され、保護貿易主義に対抗する方法・デジタル貿易に関する原則・サプライチェーンのボトルネックを迅速に発見し対処するために連携することなどについて協議される見込み。港湾の機能不全やセミコンダクターなどの重要部品の不足などによって、工場の操業が停止し、経済成長の阻害要因になっており、G7経済担当者が解決すべき最優先課題となっている。しかし、貿易大臣が提案できる、商品を市場に迅速に届けるために港湾などの物流インフラに投資をし、セミコンダクターなどの戦略物資の調達先を多様化するなどの対策は、いずれも長期的な対策で即効性は期待できず、パンデミック後の経済復興に伴う、商品の需給ギャップと物流の混乱の解消までには、まだ最大で6か月程度かかる見込みだが、こうした商品に対する超過需要はピークを越えて、問題は既に徐々に収束に向かっているとの見方もある。
原文
October 22, 2021, Reuters
3.プラスチックの製造から廃棄までのCO₂排出量が環境に与える影響
プラスチックの原料となる石油の採掘から、プラスチックごみの焼却処理までの、プラスチックのライフサイクル全体で排出されるCO₂の量は、1年間で最低2.32億トンに達し、石炭火力発電所116か所分のCO₂を排出していることが分かった。この報告書を作成したBeyond Plasticsの会長によれば、プラスチックのライフサイクルで排出されるCO₂の問題は、政府関係者や民間事業者の間でも認知されることがなく、現在建設中と建設が計画されているプラスチック製造工場を併せれば、そこから新たに排出されるCO₂の量は、石炭火力発電所の閉鎖や再生可能エネルギーへの転換によって得られるCO₂削減効果を上回ることになると警告している。報告書はさらに、米国の現行法では、プラスチックの製造や輸出に伴うCO₂の排出について、事業者が連邦政府の関係省庁に対し、報告する義務を課していないため、政府の関係当局はプラスチックの製造に伴うCO₂の排出量や大気汚染を過小に見積もっている可能性があるとも指摘している。
原文
October 22, 2021, Reuters
4.UNEP:「環境から解決へ:海ごみとプラスチック汚染に関する世界的評価」
10月21日、国連環境計画(UNEP)は標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①河川・湖・海洋に流れ込むプラスチックごみの量は近年急増しており、その量は2030年までに倍増することが予測されており、人類の健康・世界経済・生物多様性・気候変動への大きな脅威となっている。②プラスチックのライフサイクルベースでみると、2015年においてはプラスチックに関連するGHG排出量は、CO₂換算で1.7ギガトンであったが、2050年までに6.5ギガトンとなり、世界的なCO₂許容排出量(global carbon budget)の15%に達する見込みで、プラスチック問題は地球温暖化問題としてもとらえることができる。③使い捨てプラスチックなどの既存のプラスチック製品の代替として、開発が進められているバイオプラスチックや生分解性プラスチックは、既存のプラスチックと同等の科学的悪影響を環境に及ぼす。
原文
October 21, 2021, UNEP
Webinar情報
1.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/