国際海洋情報(2021年10月11日号)

1.米EIA:International Energy Outlook 2021を発表

米国エネルギー情報庁(EIA)が標記報告書を発表したところ、その概要は以下のとおり。①今後も現在のエネルギー政策が続き、技術革新もないことを前提とする標準(reference)ケースによれば、アジアを中心とした世界各国における人口増大と経済成長によって、世界におけるエネルギー消費量は2050年には、対2020年比で約50%増加する。②新たに建設される発電施設の大部分は再生可能発電となるが、石炭火力発電は2030年代に減少するもの世界的にはかなりのシェアを維持し、再生可能エネの拡大にもかかわらず、発電量全体が大幅に増加するので、発電部門から排出されるCO₂排出量は横ばいで推移する。③アジア諸国の経済発展を受けて、石油・ガスの生産は増え続ける。

原文

October 6, 2021, EIA


2.第1回Earthshot 賞:海洋部門はバハマのサンゴ養殖事業者に

英国のウィリアムズ王子による第1回Earthshot賞受賞者が10月17日発表された。天然資源の保護・大気汚染の削減・海洋環境の保護・廃棄物の削減・再生可能エネルギーの5分野で受賞者が選定され、海洋環境保護の分野では、バハマのサンゴ養殖事業者のCoral Vitaが受賞した。同事業者は、陸上でサンゴを養殖して、海に戻す活動を続けており、従来の方法に比べて、最大で50倍の速度でサンゴ礁を回復できる。

原文

October 17, 2021, The Earthshot Prize


3.独政府:エネルギー価格高騰対策として再生可能エネ追加料金を引き下げ

独では、再生可能エネルギーの整備を促進するために、再生可能エネルギー法に基づき、電力料金に上乗せする形で、電力利用者が高額の追加料金を負担してきたが、エネルギー価格急騰対策として、再エネ追加料金を42.7%来年1月から引き下げ、1kWhあたり3723ユーロ(約49万円)とすることを10月14日発表した。電力利用者から徴収された再生可能エネルギー追加料金は、風力・太陽光施設の生産者に対して支給されているが、昨年は、コロナ対策として追加料金は3.9%引き下げられ、現在電力利用者が支払う電力料金の約1/5を追加料金が占めている。再生可能エネルギーによる発電量は、2022年には、対前年比11TWh増加して、239TWhとなる見込み。来年からの追加力金の引き下げで、年間4000kWh電力を消費する標準的な家庭で年間132ユーロ(約17000円)の電力料金の引き下げとなる。

原文

October 15, 2021, Reuters


4.UNSG:IMOにCO₂削減目標の引き上げを求める

北京で開催された国連地球持続可能な交通会議における国連事務総長冒頭発言中、海運の脱炭素化に関する部分の発言の概要は以下のとおり。①IMOの加盟国は当面のCO₂削減策に取り組んでいるが、現在の対策は、地球の気温上昇を産業革命然と比べて1.5 ℃以内に抑制するというパリ協定の目的には合致せず、今世紀末までに3℃以上気温が上昇するシナリオに沿っている。②IMO加盟国は2050年までに船舶のCO₂排出量を半減するという現在の目標を見直して、パリ協定の目的に従い、2050年までに炭素中立を目指すべき。③2050年までの炭素中立を実現するためには、2030年には、新造船に当たっては、商業採算性が取れるゼロエミ船を選択するのが標準となるようにすべき。

原文

October 18, 2021, The Maritime Executive


Webinar情報

1.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/