国際海洋情報(2021年10月6日号)
1.各建物の屋根に設置する太陽光パネルの可能性
原文
2.国際運輸労連:主要国首脳にコロナワクチン等の知的財産権の免除を求める
世界の118か国で働く1200万人の交通労働者を代表する375の労働組合は連名で、コロナワクチン・治療薬・診察に関する知的財産権免除(TRIPS waiver)について反対している英・独・スイスの政府の首脳等に対して、サプライチェーン危機を悪化させていると非難する公開書簡を送った。国際運輸労連は、ジュネーブで開催中のWTOのTRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)理事会の2日目に、この書簡を出席中の首脳に手交し、知的財産権を免除し、全世界に迅速にワクチンを供給しなければ、今後5年間で世界のGDPに対して5.3兆ドルの損失が発生すると主張した。低所得国では、現在でも3%以下の人しかワクチン接種を受けていないが、IMFの専務理事も、コロナからの完全復興を妨げる最大の障害は、「ワクチンの分断」であるとし、ワクチンを発明したオックスフォード大学の教授も、優先的にやるべきことは、より多くの人により早くワクチンを打つことであるとしている。
原文
October 14, 2021, 国際運輸労連
3.露大統領:2060年までに炭素中立実現を表明
ロシアは世界で4番目のGHG排出国であり、露大統領は、過去何年も、人類が地球を温暖化していることに懐疑的で、既存のエネルギー計画では、2050年までGHGの排出量は増え続け、今世紀末まで、炭素中立は実現できないこととなっていた。しかし、6月には、同大統領は方針を転換して、政府に対し、2050年までに同国が排出するGHGの量をEUの排出量以下に抑制するための計画を作成するよう命じ、10月13日、同大統領はロシアエネルギー週間のフォーラムで、将来的に石油・ガスの果たす役割は減少し、同国は遅くとも2060年までに炭素中立を達成すると表明した。科学者によれば、同国のシベリアと北極圏は、世界の中でも気候変動の影響を最も受ける地域であるとされている。
原文
October 14, 2021, The Moscow Times (AFP)
4.IRENA:「2050年までに海運を脱炭素化する道筋」報告書を発表
すべての海運活動から排出されるCO₂の量は、世界で6番目から7番目に排出量の多い国と同程度の規模であるが、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、世界の気温上昇を1.5℃以内に抑制するというパリ協定の目的に従い、外航海運の燃料の最低7割を、再生可能電力から作られたグリーン水素から製造された代替燃料や進歩したバイオ燃料等の再生可能燃料に置き換えることによって、外航海運から排出されるCO₂を最大で80%削減するためのロードナップを示した報告書を10月13日発表した。具体的な方策としては、①グリーン水素を利用した動力の間接的な電化②進歩したバイオ燃料の利用③船舶のエネルギー効率の向上④世界の貿易システムの制度的な変更による海上輸送量の減少を4本柱としている。さらに短期的には、進歩したバイオ燃料がCO₂削減の主体となって、2050年までには、船舶燃料の最大10%を占め、中期的には、グリーン水素を原料としたEアンモニア・Eメタノールが燃料の主役となり、2050年までに合計で船舶燃料の6割を占め、なかでもEアンモニアは最大で43%のシェア、量にして、現在の世界のアンモニア総生産量に匹敵する1.83億トンに達すると予測している。
原文
October 13, 2021, IRENA
Webinar情報
1.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/