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国際海洋情報(2021年10月4日号)

1.マレーシア:南シナ海問題で真っ向から中国に臨む

マレーシアの新首相は、南シナ海の主権の問題については、いかなる妥協もしないと明確にして、中国大使を外務省に呼んで、サバ州とサラワク州沖のマレーシアのEEZ内に、調査船を含む中国船舶が侵入・活動していることについて、中国船舶の活動はマレーシアの「1984年のEEZ法」と国連海洋法に違反するとして抗議する口上書を手交した。マレーシアは6月に中国空軍機がマレーシアの領空を侵犯した時にも、友好的な外交関係があったとしても、国家安全上の問題については一切妥協しないと表明している。マレーシアの隣国のインドネシアやフィリピンも、中国船舶が、自国のEEZ内に侵入することを防止するために、強い行動をとっている。主要東南アジア諸国は、域外国との防衛上・戦略的な協力関係の強化を進めており、数か月前には米国と陸海空の大規模な共同軍事演習を実施した。

原文

October 5, 2021, Asia Times


2.第6次世界のサンゴ礁の状況報告書:2020年

世界サンゴ礁監視ネットワーク(GCRMN)が標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①大規模なサンゴ礁の白化が世界のサンゴ礁に対する最大の脅威で、1998年の白化現象の発生だけで、世界の8%のサンゴ礁が死滅した。②2009年から2018年に発生した白化現象で、世界の14%のサンゴ礁が死滅した。②サンゴ礁における藻類の量は、対2010年比で、2019年には20%増加した。③海面温度の急激な上昇または海面温度の継続的な高温によって、世界的にサンゴ礁の面積が減少している。④2010年以来、世界のほぼ全域でサンゴ礁の面積が減少しており、将来的にさらに海面温度が上昇することが予想されることから、今後数十年間もサンゴ礁の減少傾向は続く見通し。⑤一方で、2002年から2009年にかけて世界のサンゴ礁の面積は増加したことから、世界のサンゴ礁の多くは耐久力があり、周辺状況が改善すれば、回復能力があることがわかる。

原文

October 5, 2021, Global Coral Reef Monitoring Network


3.米エネルギー省:地域的な太陽光発電で500万戸の家庭に電力を供給

10月8日、米国エネルギー省は、2035年までに発電を完全に再生可能エネルギーにするという国家目標実現のための一方策として、共同体ごとの太陽光発電(Community Solar: CS)によって、2025年までに500万個の家庭に電力を供給することを目標にすると発表した。これまでは、太陽光パネルを設置できるような家を所有できる家庭しか、太陽光発電を利用できなかったが、共同体単位で太陽光発電施設を整備することによって、家持でないすべての家庭でも太陽光発電の恩恵を受けることが可能となる。この目標の達成により、10億ドルのコスト削減と、共同体ごとに新たな労働機会を提供できる。同省によれば、既に太陽光発電によって、1900万戸分の電力を供給できる発電量を確保しているが、地域的な偏りがあるので、共同体ごとに太陽光発電施設を整備すればこれを補完できる。

原文

October 8, 2021, The Hill


4.英国:2035年までに化石燃料による発電から脱却

英国の保守党の大会で、ジョンソン首相は、現在進行中の天然ガス価格の高騰といったエネルギー価格の変動の影響を緩和するためにも、英国が世界を主導する洋上風力発電や他の再生可能エネルギー、炭素回収貯蔵(CCS)を活用した水素の利用などによって、2035年までに化石燃料による発電から脱却すると言明した。発電に占める再生可能エネルギーのシェアは現在43%だが、天然ガス火力発電も依然として、全体の1/3弱の11.4GWを発電しており、発電量の約1/6を占める原子力も将来的に継続する見込み。英国政府が電力価格の上限を引き上げたにもかかわらず、天然ガス価格の高騰により、10社以上の電力事業者が既に倒産し、今後も破綻する電力事業者が出る見込みだが、この冬には暖房・電力料金の更なる高騰が消費者を圧迫する見込み。

原文

October 4, 2021, The Guardian


Webinar情報

1.UN Conference Ocean Decade Kickoff Conference for the Western Pacific
November 25-26
https://www.ioc-westpac.org/decade-kickoff-conference/registration/


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