国際海洋情報(2021年9月28日号)

1.マースクが中国船級協会と炭素中立技術と基準作りで連携

9月27日、マースクと中国船級協会(CCS)は、①科学的・技術的に革新的な事業②代替燃料の生産から供給までの調達可能性と関連インフラ③炭素中立船の設計の3分野で協力していくことを確認する覚書を締結した。CCSの会長は、エネルギー効率化と脱炭素化の先端を切っているマースクと協力して、率直な議論を通じて、海運業全体の利益に従い、脱炭素化のための正しい基準・規則・技術的な手法を開発できることを期待しているとコメントした。

原文
September 27, 2021, Maersk

2.中国国内の電力供給不足・環境規制の強化により2021年の経済成長が下押し

9月28日、ゴールドマンサックスは、中国国内の深刻な電力供給不足によって、工業生産量が大きく落ち込むとして、2021年の同国の経済成長率の見通しを+8.2%から+7.8%に下方修正した。環境規制の強化と発電量の減少と電力価格の高騰によって、中国全土で工業生産が落ちており、いくつかの州では、住民に対して冬季の電力と暖房を保証しなくてはいけない状況となっている。ゴールドマンサックスによれば、中国の産業活動のうち最大で44%が電力不足の影響を受け、年間GDP 成長率に換算して、第3四半期に1%、第4四半期に2%の下押し効果があると分析している。中国の経済はすでに、不動産価格の下落・不動産大手の恒大産業の資金繰りの悪化の影響を受けており、第4半期の見通しは、中国政府による恒大産業救済方針や強化された環境規制をどの程度厳しく適用するかという対応によって、大きく上振れも下振れもする見込み。

原文

September 28, 2021, Reuters


3.アジアインフラ投資銀行とIRENAがアジア諸国のエネルギー転換で連携

9月21日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)と国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、アジア諸国におけるエネルギー転換を促すために、多くの民間投資を呼び込むための連携覚書を締結した。現在、アジアには世界の約6割の人口が集中し、世界で排出されるGHGの約半分を排出している一方で、再生可能エネルギーについては、10年前には世界全体の1/3を発電していたが、その後シェアを拡大し、今では世界の約半分の再生可能エネルギーをアジア域内で発電している。しかし、アジア諸国全体のエネルギミクスで見ると、再生可能エネルギーのシェアは15%以下で、まだまだ開発の余地がある。さらに、世界全体で2040年までに拡大するエネルギー需要の約2/3が、アジアの途上国で発生すると予測され、こうした増加エネルギー需要を、水力・風力・太陽光といった持続可能なエネルギーで賄う必要がある。

原文

September 21, 2021, IRENA


国内ニュース

1.川崎汽船:国内初のTransitional Link Loanで資金調達
原文

9月27日、川崎汽船㈱