国際海洋情報(2021年9月24日号)
1.英国首相国連総会演説のポイント
原文
2.英国OGA:洋上構造物脱炭素化のための研究提案の募集を開始
英国政府は現在、North Sea Transition Dealとして、2021年末まで洋上構造物の電化を支援しているが、その後継事業として、9月23日、英国石油ガス庁(Oil and Gas Authority: OGA)は、現在天然ガスまたはディーゼルによって電力を供給されている英国の大陸棚上の洋上構造物の脱炭素化を進めるため、技術的・工学的・商業的な研究開発提案の募集を開始した。採択された提案については、総額100万ポンド(約1.5億円)の研究支援資金が分配され、2022年3月末までに研究成果を取りまとめることが求められる。洋上石油ガス掘削リグから排出されるCO₂の2/3は、天然ガスまたはディーゼル油による発電によって発生するものであり、仮に電力を陸上や周辺の洋上風力発電施設から調達できれば、リバプール市の全家庭から年間排出されるCO₂の量に相当する2-3MptaのCO₂排出を削減することが可能で、4GW分の新たな洋上風力発電施設の建設にもつながる。
原文
September 23, 2021, Oil & Gas Authority
3.EU:COP 26共通交渉ポジションの合意が難航
現在、EUはCOP 26を控えて、EUとしての共通交渉方針の作成作業中だが、共通方針の策定のためには、全27加盟国の同意が必要であり、いくつかの論点について全加盟国の合意を得ることができない懸念がある。その論点の一つが、EU全加盟国が5年ごとにNDCsを見直すことを義務付けるか、5年ではなく10年ごとに見直すことも認めるかという問題で、デンマーク・オランダ・スペインなどの過半数の加盟国は5年ごとの見直しによって、他の諸国により野心的な目標に見直すプレッシャーをかけることができるとしている一方で、ポーランド・ブルガリア・ルーマニアなどの東欧諸国は、見直し期間について5年か10年を各国が選択できるようにすべきとして反対している。EUは5年間の見直しを提案しており、各加盟国は、24日に議論を行う予定。
原文
September 23, 2021, Reuters
4.国連主導で石炭火力発電所の新設停止合意に7か国が署名
石炭火力発電所から排出されるCO₂の総量は、世界全体のCO₂排出量の約1/3を占めており、国連事務総長は、各国が本年中に石炭火力発電所の新規建設の停止に合意することを希望し、COP 26のシャルマ議長もCOP 26で同様の合意をすることを望んでいるが、チリ・デンマーク・フランス・ドイツ・モンテネグロ・スリランカ・英国の7か国は、石炭火力発電所の新設を停止する(No New Coal)合意に署名し、国連はCOP 26までに署名国数を拡大することを目指すとしている。2017年には、Powering Past Coal Alliancesが結成され、石炭火力発電所の新設の停止ばかりでなく、既存の石炭火力発電所を2030年までに停止することに41か国が既に合意している。COP 26を前に、同様の自主的な連合結成の動きがあり、先週には、米国とEUが主導して、2030年までにメタンガスの排出を30%削減するGlobal Methane Pledgeが締結され、8月には、デンマークとコスタリカが主導して、2050年までに石油ガスの生産を停止するBeyond Oil and Gas Allianceが結成されている。
原文
September 24, 2021, Bloomberg