国際海洋情報(2021年9月22日号)
1.中国:海外における新規石炭火力発電所の建設停止を約束
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2.Getting to Zero Coalition:2050年までの海運脱炭素化を政府に要求
世界海事フォーラムや世界経済フォーラムが主導して、150社以上の海事・エネルギー・インフラ・金融企業などによって構成されるGetting to Zero Coalitionが2050年海運脱炭素化のための宣言(Call to Action for Shipping Decarbonization)を発表し、2030年までに、新たな船舶についてはゼロエミッションが標準となるよう以下の事項について政府に要求している。①2050年までに外航海運を脱炭素化することを約束すること。②業界が実施するゼロエミ海運実現のための施策を支援すること。③2030年までにゼロエミッション海運が標準化するのに必要な政策的な環境を整備すること。(なお、この宣言には、わが国から邦船3社・Class NK・三井物産が署名している。)
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September 21, 2021, 世界海事フォーラム
3.EMSAのドローンを利用してジブラルタル海峡でSOx規制取り締まり
スペイン海運局は、欧州海事安全庁(EMSA)の遠隔操縦ヘリ(CAMCOPTER)を利用して、7月中旬から10月末まで、ジブラルタル海峡上空で、船舶から排出されるSOxについて取り締まりを実施中。これまでCAMCOPTERは北欧のSOx排出特別規制海域で、SOx排出規制監視に用いられてきたが、特別規制海域以外で取り締まりに使用されるのは今回が初めて。CAMCOPTERは25㎡以下の限られたスペースで離着陸が可能で、6時間以上かつ100km以上の航続距離を持ち、ガスセンサーと光学・赤外線カメラを搭載している。スペイン海運局は、1日当たり10隻程度の船舶から排出されている排ガスの検査をCAMCOPTERで実施しているが、これまで検査した294隻のうち、27隻から排出規制違反の恐れがある排気が観測された。観測された情報は自動的に暗号化されて、EMSA THETIS-EUに送信され、違反事例について警告する。CAMCOPTERの観測情報だけでは摘発されないが、PSC検査官がこの情報を活用して当該船舶を重点的に臨検し、必要に応じてサンプルを採集して検査の上、訴追されることとなる。
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September 20, 2021, EMSA
4.WHO:新たな大気汚染防止ガイドラインを発表
PM2.5は微小な大気汚染物質だが、最も健康に対して危険で、呼吸により体内に取り入れられると、肺の細胞から血液にまで侵入して、喘息・心血管疾患などの呼吸器系疾患の原因となるが、9月22日、世界保健機関(WHO)は15年ぶりに大気汚染に関するガイドラインを改定し、大気中のPM2.5の許容密度を1㎥あたり、10マイクログラム以下から5マイクログラム以下に引き下げた。2016年には、大気汚染に関連した死者数の過半数となる410万人がPM2.5が原因となって死亡したが、もし新たな許容密度が適用されていれば、死亡者数の約8割に当たる330万人の死亡が防げたとWHOは分析している。新たなガイドラインは、PM2.5に関する基準のほかに、より大きいPM 10やオゾン・窒素酸化物・硫黄酸化物・一酸化炭素に関するに関する基準も含まれている。報告書は、国連総会にあわせて発表されたが、WHOは新ガイドラインによって、人類の健康問題ばかりでなく、国連総会の主要議題となっているコロナ対策や気候変動問題を含む3つの課題を同時に解決できるとしている。
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September 22, 2021, CNN
国内ニュース
1.三菱商事:アンモニア生産により排出されるCO₂の処理について米社と連携
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9月21日、三菱商事