国際海洋情報(2021年9月16日号)

1.英国政府が海事報告書(2019-2020年度)を公表

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September 14, 2021,英国政府


2.短期的にはコンテナターミナルの処理能力の拡大が輸送量の拡大に追い付かず

Drewry社の予測によれば、コンテナ貨物の輸送量は2020年から2025年の間、年間平均5%拡大するが、コンテナターミナルの処理能力は同期間中に年平均2.5%しか拡大せず、13.4億TEUにとどまる見込みなので、この結果、世界のコンテナターミナルの平均利用率は67%から75%に上昇する見込みである。75%という水準は平均で見れば、大きな問題ではないが、現状でもコンテナ船の混雑が問題になっている港湾では大きな懸念となりうる。こうした状況に対処するため、過去1年間、多くのターミナルオペレーターは、TradeLensのような中立のブロックチェーンネットワークに参加して、港湾のデジタル化による物流情報の共有化を進めてきている。こうした物流情報のデジタル共有化による情報の透明性・追跡性の向上により、従来必要とされていた物理的な書類作成の手間が大幅に省ける見通しである。

原文

September 17, 2021, The Loadstar


3.UNFCCC:NDC統合報告書を発表

9月17日、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局は、COP 26開催を前に、加盟国から提出された改訂後のNDCs(各国が自主的に決めたCO₂排出削減目標)を取りまとめた統合報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①7月30日現在で、パリ協定加盟国191か国のうち、全体の59%にあたる113か国からNDCsの提出があり、そのうち86か国がNDCsを見直し、または新しいものとした。②113か国のうち、70か国は今世紀半ばまでに炭素中立とすることを目標に掲げ、2030年までに2010年実績比で約26%のCO₂排出削減に取り組むこととなる。③ただし、多くの途上国は、先進国から必要な資金を含む支援を受けることを条件に、NDCsに取り組むことを表明している。④今回取りまとめられたNDCsが全て実施されれば、2030年までに世界全体のCO₂排出量をピークアウトすることができる。⑤多くのNDCsの中で取り上げられている気候変動適応策の実施については、先進国からの支援が特に重要となる。

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September 17, 2021, UNFCCC


4.米大統領:世界の首脳にメタンの排出削減を要請

バイデン大統領は、4月に主催した気候変動サミットのフォローアップとして「主要経済大国フォーラム(Major Economies Forum)」を9月17日オンラインで開催し、2030年までにメタンガスの排出を対2020年実績比で30%削減するという米国とEUとの間で合意されたGlobal Methane Pledgeに多くの国が参加するように要請した。英国のジョンソン首相が直ちに参加を表明したのに加え、アルゼンチン・インドネシア・イタリア・メキシコが参加を表明し、ガーナとイラクも参加を前向きに検討すると表明した。世界でメタン排出の多い、トップ15か国のうち、既に6か国が参加を表明したこととなる。国連によれば、メタンは地球の気温上昇の約3割の原因となっており、CO₂より強力なGHGであるメタンの排出量の削減が、地球気温の上昇のペースを減速させる最も有効な方策であると国連の気候変動対策専門家は指摘している。

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September 17, 2021, Reuters