国際海洋情報(2021年9月15日号)

1.米エネルギー省:太陽光発電拡大戦略を発表

9月8日、米エネルギー省はSolar Futures Studyを発表したところその概要は以下のとおり。①2035年までに米国の電力を炭素中立にするというバイデン政権の目標を達成するためには、2021年から2025年までは毎年平均して30GWの、2025年から2030年までは、毎年平均して60GWの太陽光発電施設を新設し、太陽光発電で足らない分は、風力(36%)、原子力(11-13%)、水力(5-6%)、バイオ・地熱(1%)で補う必要がある。②このような大規模な太陽光発電施設の設置を進めることによって、2035年までに50-150万人の雇用を創出し、上記再生可能エネルギー全体で、300万人の新規雇用を創出する。③太陽光と風力を併せて、2035年までに全発電量の75%を、2050年までに全発電量の90%を供給する。再生可能電力による電力供給の柔軟性と信頼性を高めるため、現在30GWある蓄電能力を2035年までに400GWまで、2050年までに1700GWまで拡充する。

原文
September 8, 2021, 米国エネルギー省

2.ICS:船員・船主向け新たなコロナ対策ガイドラインを発表

船員に対するコロナワクチンの接種は進展を見せているものの、依然としてわずか25%の船員しかワクチンを接種しておらず、ほとんどの船員は2022年までワクチン接種を待たなくてはいけない状況にある。また、船員の移動制限によって、船員の交代が自由にできない状況も継続し、18か月以上継続勤務している船員もおり、世界の海運活動を危機的な状況にしている。このようなパンデミックに伴う困難から船員や船主を守るため、国際海運会議所は、ロンドン国際海運週間の初日に当たり、国際海事保険協会(IMHA)・INTERTANKO・国際運輸労連・欧州船主協会・Intercargo・国際港湾協会などの関係機関と連携して、コロナ対策ガイドラインを新たに改訂して発表した。ガイドラインは、ワクチン接種に関するもの、船員の上陸に関するもの、船員手配仲介業に関するもの、船員のメンタルヘルスに関するものなどに分かれている。

原文

September 13, 2021, ICS


3.EC副委員長:電力価格の高騰の時こそエネルギー転換を進めるべき

欧州における電力の卸売価格は今年に入ってから約2倍と記録的に高騰しているが、これは石炭・天然ガス・CO₂価格の高騰と、再生可能発電の発電量が少なかったことが原因となっている。気候問題担当の欧州委員会のティマーマンス副委員長は、欧州議会で、「もしわれわれが5年早くエネルギー転換を始めていたら、化石燃料への依存度が下がっており、再生可能エネルギーの発電価格は安定しているため、電力価格がこのように高騰することはなかった。」として、エネルギー転換の速度を加速すべきであると述べた。CO₂排出権の価格も今年に入ってから高騰しているが、電力価格高騰には1/5程度しか寄与していないとも語った。独立系の気候・エネルギー問題のシンクタンクの分析でも、今回の電力料金高騰の主たる原因は、天然ガス価格の高騰のためと分析している。

原文

September 15, 2021, Euractiv


4.各国のNDCsの見直しが停滞

各国の気候変動対策を監視しているClimate Action Tracker(CAT)は5月以来、各国のNDCsの見直し作業が停滞していると報告しているところその概要は以下のとおり。①CATによる評価によれば、気温の上昇を1.5℃以内に抑制するパリ協定の目的に十分合致したNDCsを提出しているのは調査対象国37か国中、ガンビアだけだった。②ほぼ目的に合致している状況と評価されたのは、先進国では英国のみで、後はケニアなど途上国で合計7か国だった。③不十分と分類された国のうち、EU・独・米は大幅に目標を引き上げた。④豪・ブラジル・インドネシア・メキシコ・NZ・露・シンガポール・スイス・ベトナムは既存のNDCsを見直さずに提出したか、逆に目標の引き下げを行った。⑤中国とインドは多くの石炭火力発電所の新規建設計画を持ち、インドネシア・ベトナム・日本・韓国といった他のアジア諸国でも新規石炭火力発電所の建設計画がある。

原文

September 15, 2021, Climate Action Tracker


国内ニュース

1.日本郵船とBPが代替燃料で連携
原文

9月15日、日本郵船