国際海洋情報(2021年9月13日号)

1.米・中・EUの海運競争政策担当部局が意見交換

2年に1回開催される「世界規制当局サミット」の第5回会合が欧州委員会の主催で、9月7日、欧州委員会の他に米国から連邦海事委員会、中国から交通運輸部が参加して開催された。会合では、①コンテナ海運に関するサービスの需給バランス・海上物流のボトルネック・サービスが混乱している原因などのパンデミック発生以来のコンテナ海運サービスの状況。②そうした状況に対応して各国の当局がとった対応。③コンテナ海運の持続可能性・円滑な運営を促進するため、今後取ることのできる施策。について協議された。歴史的な海上貨物輸送需要の高まりと、異常な運賃高騰について、規制当局・議会・国民の関心が世界的に高まっている。クリスマスを前に季節的な輸送需要のピークシーズンに既に入っており、コンテナの不足や港湾の混雑がさらに悪化することが懸念されている。

原文
September 13, 2021, American Shipper

2.US DOE:航空・海運用のバイオ燃料の開発に6500万ドルを支援

バイデン政権は2050年までに航空輸送を脱炭素化するためのSustainable Aviation Fuel (SAF) Grand Challengeを開始したが、この一環として、エネルギー省(DOE)は9月9日、航空や海運で使用されている石油燃料を代替する経済効率の良い低炭素のバイオ燃料の開発支援のために6470万ドルの補助制度を新設すると発表した。また、バイオ燃料の研究開発・実証試験を支援し、2030年までに最低30億ガロン、2050年までに現在年間350億ガロン使用されている航空燃料をすべてSAFに代替することを目標として、DOEは運輸省・農業省と連携するための覚書に同日署名した。バイオ燃料は穀物廃棄物・食品廃棄物・藻類などの生物性有機物質から発生する再生可能炭素を液化して、ガソリン・ジェット燃料・ディーゼル油の低炭素代替燃料として使用する。

原文

September 9, 2021, DOE


3.洋上風力発電施設建設のための専用港湾がニュージャージーに建設

米国東海岸の洋上風力発電施設の建設ハブとなる港湾の建設場所については、業界・政府・環境団体等が参加して、22か月にわたる環境影響調査を実施した結果、2020年6月に、セーレム市南西のデラウエア川の東岸にNew Jersey Wind Portとして建設されることが決定されたが、鍬入れ式が近日中に開催され、本格的な建設作業が12月に開始され、2023/2024年の冬季に運用が開始される予定。同港は洋上風力発電施設のハブとして建設される米国で最初の港湾となり、同州の州知事は、2022年度予算で2億ドルを建設費として充てるほか、同州の運輸局も同港の浚渫のために、4400万ドルを支出する予定。同州は2050年までにエネルギーを完全脱炭素化することを目指して、2035年までに7500MWの洋上風力発電を可能とすることを目標としている。

原文

September 10, 2021, Offshore Wind Biz


4.英国政府:IMOで2050年までの海運脱炭素化を主張へ

今週からロンドンでは国際海運週間が開幕するが、開幕に合わせて、英国の運輸大臣は、同国として、2050年までに外航海運を完全に脱炭素化することを支持すると表明した。同大臣は、さらに2025年までに炭素を排出しない船舶が商業運航を始め、2030年代には、英仏海峡のフェリーの脱炭素化を目指すことも表明する予定。英国政府は既に7月14日に、「交通脱炭素化計画」を発表しており、英国運輸省内に、海運からの炭素排出削減を専門に担当するUK Shipping Office for Reducing Emissions (UK SHORE)を設立する予定。英国の海運を含む各種海事関係業界の団体であるMaritime UKの議長も、英国政府が海運脱炭素化を主導するのを歓迎している。

原文

September 13, 2021, 英国政府