国際海洋情報(2021年9月10日号)

1.米国の港湾交雑は最悪の水準となる一方で、中国の港湾は大幅改善

米国の3大港湾において入港待ちしている船舶の数は7月以来徐々に増加を続け、LA/LB港ではBloombergが世界の港湾の混雑状況の調査を始めて以来最悪の40隻のコンテナ船が入港を待っている。東海岸ではジョージア州のサバンナ港では、20隻の船舶が入港待ちで、NY/NJ港でも滞船数は4月以降増加を続け最悪の水準になっている。米国以外の世界各地でも、クリスマスを前に輸送需要の繁忙期になる一方で、港湾の滞船など物流網にボトルネックができることによって、小売・製造事業者への配送が遅れ、輸送能力が減少し、運賃は記録的な水準に高騰している。一方、中国の寧波港周辺の港湾混雑は、8月末をピークに大幅に改善されたが、分散化された貨物を引き受けた青島港などでは8月以来滞船状況が続いている。

原文
September 10, 2021, gCaptain (Bloomberg)

2.仏クルーズ船が北極点に到達

9月6日、仏クルーズ船社のPontant Cruises 社のクルーズ船Le Commandant Charcot号が北極点に到達した。同社によれば、同船の動力はバッテリーで、北極海の環境には最低限の悪影響しか与えないように配慮された。同船は9月1日に、スヴァールバル諸島のヤンマイエン島のロングイールビュエンを出港して北極点に向かったが、化石燃料を使用しない史上初めての航海で、実際の北極圏の環境で、新たなクルーズ活動を始めるために、クルーを訓練し、安全装置などの試験を実施した。同船には、事業関係者・同船を建造した関係者・最終的な調整を行う技術者・科学者・出資者・広報関係者・国際機関の代表・海軍の訓練生など100人以上が乗船した。

原文

September 10, 2021, International Cruise Ship Industry


3.米下院民主党が1500億ドルのClean Electricity Payment Programを発表

米下院民主党は、9月8日、バイデン大統領の地球温暖化対策の柱となる電力の脱炭素化のために、太陽光・風力・水力などの低炭素エネルギーによる発電を年率4%以上増やした電力会社は、2023年から2030年までの間、エネルギー省からの報奨金を受け取り、目的を達成できなかった電力会社は反対に罰金を支払うという内容の、予算総額1500億ドルのClean Electricity Payment Programを発表した。より具体的には年率4%以上Clean Electricityの供給を増やした電力会社を対象として、対前年比1.5%を超える増加分について、1MWhあたり150ドルの報奨金が支払われる。Clean Electricityの定義としては、1MWhあたり0.1MT以上のCO₂を排出しないことが基準とされており、天然ガスを原料とした電力はClean Electricityとはみなされない。

原文

September 10, 2021, Reuters


4.NOAA:米国で史上最も暑い夏となる

米国海洋大気庁が9月9日発表した月刊報告書によれば、米国本土の6月から8月の平均気温は23.3℃で、これまでの平均気温より1.4℃高くなり、これまで最高であった1936年のDust Bowl Summerの気温よりわずかに上となって、史上最高となった。州別にみると、カリフォルニア・アイダホ・ネバタ・オレゴン・ウタ州など米国本土の18.4%の地域で史上最高気温となった。同期間の平均降雨量は、241ミリで、平均より30ミリ多く、史上8番目に降雨量の多い年となった。州別にみると、ミシシッピ州で史上最高の降雨量を記録した一方で、ミネソタ州では、史上最低の降雨量となった。

原文

Summer 9, 2021, NOAA