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国際海洋情報(2021年9月9日号)

1.米国東海岸港湾組合:無人船の荷役を実施しないことを表明

日本郵船やノルウェーのYara Internationalによる自律運航船の実証運航実験の報道を受けて、米国東海岸港湾組合(International Longshoremen’s Association: ILA)の組合長は、無人の完全自動化コンテナ船に対する荷役を拒否すると9月7日表明した。ILAは2018年に米国海事アライアンス(USMX)と交渉して、ILAの港湾労働者の生産性を自動荷役機器を導入した場合と同様のレベルまで引き上げることを条件に、いかなる自動化された装置もILAが関与する港湾(メイン州からテキサス州までの米国東岸・プエルトリコ・カナダ東岸の港湾)では導入しないという6年間の協定を締結している。ILAは米国内のすべての海事労働組合や国際港湾荷役労働者協議会(IDC)も、ILAとともに、自律コンテナ船の導入に反対し、港湾荷役労働者の職域の確保のために戦ってほしいとしている。

原文

September 7, 2021, ILA


2.米国:2050年までにすべての航空燃料を持続可能な航空燃料に

米国大統領府は、9月9日声明を発表し、2030年までに航空からのGHG排出量を20%削減し、2050年までに炭素中立化するため、以下の政策をとることを発表した。①持続可能な航空燃料(SAF)増産のため、燃料のライフサイクル全体で最低50%以上GHG排出を削減できるSAFに対して、新たな税額控除制度を創設し、2030年までにSAFの年間生産量を最低30億ガロンまで引き上げる。②SAFの開発を支援するため、SAF製造事業者に対して最大43億ドルを財政支援する。③航空機の燃料使用効率を30%以上向上させるような技術開発を促進する。④航空機の燃料使用量を削減するため、航空管制や空港の効率性を改善する。なお、米国政府は今後数か月以内に、包括的な航空気候変動対策行動計画を発表する予定。

原文

September 9, 2021, The White House


3.ハーバード大学が化石燃料への投資の停止を宣言

ハーバード大学は、教育機関としては米国国内最大の419億ドルの寄附金基金を保有しているが、大学の学生や卒業生や環境団体から、化石燃料産業への支援を停止するよう長年求められてきたが、現在の学長も含め、歴代の学長は化石燃料産業からの投資の引き上げを明確に拒否し、大学として気候変動に対しては、教育・研究・大学構内での持続化可能な取り組みという面から取り組むとしてきた。しかし、9月9日、同大学の学長は、今後の経済の脱炭素化の必要性と頂いた寄付金を大学の教育・研究活動を支えるために長期的に安全に運用する義務という観点から、さらなる化石燃料への投資は避けるべきと判断したとして、大学の資産を管理する会社(HMC)は、今後化石燃料資源の探索・開発を行う会社に対する直接投資を行わないし、化石燃料関係のprivate equity fundへの新規投資も停止すると発表した。

原文

September 10, 2021, NPR


4.マースクCEO:IMOに化石燃料船の建造期限の設定を求める

マースク社CEOのスコウ氏は、10日、「欧州委員会が2035年までに内燃式エンジンを持った自動車の生産の打ち切りを表明しているように、IMOも海運脱炭素化の野心的な目標と手段を定めて、化石燃料船建造期限の設定を行うべきである。」と表明した。マースク社は世界最大のコンテナ船社で、最大の船舶燃料購入者でもあるが、炭素を排出しない外航船の導入について、海運業界を先導し、サプライチェーンの脱炭素化を図りたいHP/Microsoft/Unileverなどの大手荷主の要請にこたえて、韓国の現代重工に対し、既に16000TEUの8隻のメタノールを代替燃料として使用できるコンテナ船を発注済みで、実際に国際航路に脱炭素化コンテナ船を就航させる最初のコンテナ船社となる。スコウ氏は脱炭素燃料へ直ちに移行することに熱心で、他のコンテナ船社がLNG燃料船の大量導入を行っていることを強く批判している。

原文

September 10, 2021, The Maritime Executive


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