国際海洋情報(2021年8月26日号)

1.中国:地方政府が100GW以上の石炭火力発電所の新規建設を計画

中国政府は、2030年までにCO₂の排出量をピークアウトし、2060年までに炭素中立を達成することを目標としているが、8月25日、Greenpeaceが発表したところによると、中国の省政府は、2021年上半期合計で24の新規石炭火力発電所の建設計画(合計発電量5.2GW)を承認した。これは対前年同期比20%の減少となったものの、これまでの累計で、中国の省政府が計画する新規石炭火力発電所の発電量の合計は、英国全体の総発電量を超える104.8GWとなった。中国政府は石炭消費量の削減を2026年から開始するとし、それまでは、中央政府が新たに稼働する石炭火力発電所の数を管理するとしているが、省政府は中央政府の許可を得ずに石炭火力発電所の新設を進めることができるので、Greenpeaceは石炭火力発電所の新設について、中央政府が省政府をもっときちんと管理できるようにすべきと主張している。

原文

August 25, 2021, Reuters


2.米ワシントン州:環境影響調査が終了するまではスクラバー排水を暫定的に禁止

シアトル西方のピュージェット湾は風光明媚で多くのクルーズ船が集まるが、今やそのクルーズ船の多くがスクラバーを搭載している。世界的に環境団体は、スクラバー排水による海洋環境への悪影響を懸念しており、いくつかの港湾当局や政府も港湾内や領海内におけるスクラバー排水の海洋への放出を禁止している。ワシントン州の生態局とシアトル港当局は、環境団体からの申し入れを受けて、来年に第3者機関による環境影響調査を実施し、調査結果が出るまでは、暫定的に同湾内におけるスクラバー排水の海洋放出を禁止することを提案している。

原文

August 25, 2021, Ship & Bunker


3.米国のインフラ法と新予算案で2030年までに米国のCO₂排出量を45%削減

米国上院民主党院内総務は、8月25日、超党派のインフラ法案と民主党の大型予算案を併せると、2030年までに対2005年実績比で、米国内のCO₂排出量を45%削減できる見込みであることを明らかにした。これにその他のバイデン政権の施策や、NY・カリフォルニア・ハワイなどの各州政府の施策を併せれば、2030年までにCO₂の排出量を半減させるというバイデン政権の目標を達成できると語った。中でも、クリーンエネルギー自動車法案と電力業界に対するクリーン電力支払い計画(Clean Electricity Payment Programme)の2台政策だけで、総削減予測量の2/3を捻出できる見込み。

原文

August 25, 2021, The Hill