国際海洋情報(2021年8月18日号)
1.米クルーズ業界:デルタ株の蔓延に対応して逐次対策を強化
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2.英国政府:水素経済戦略を発表
英国首相は昨年11月に「グリーン産業革命のための10大計画」を発表し、その中の1項目として水素については、2030年までに(エネルギー多消費型)産業・交通・発電・家庭の電力のために、5GWの低炭素水素を生産することを目標として発表していたが、8月17日、その目標を実現するための具体的な水素戦略を発表したところその概要は以下のとおり。①上記目標を達成すれば、英国内の水素経済規模は2030年までに9億ポンド(約1360億円)となり、9000人の新たな雇用を創出し、さらに2050年までには同130億ポンド(約2兆円)と10万人にまで急増する。②2030年までに水素は化学・石油精製・発電・海運・大型トラック・鉄道などのエネルギー多消費型で多くのCO₂を排出する産業の脱炭素化に大きな役割を果たす。③2050年までに英国国内のエネルギー消費総量の20-35%が水素を原料としたものとなり、気候変動委員会(CCC)が提唱する2035年までにCO₂の排出量を78%削減し、2050年には炭素中立を達成するという目標に大きく貢献する。④低炭素水素経済の進展により、7億本の植樹に相当するCO₂の排出削減を2032年までに達成する。
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August 17, 2021, 英国政府
3.インドでも輸出事業者が競争当局に海運カルテルについて調査申し立て
インドの輸出事業者も、2021年に入ってから、コンテナ運賃の高騰とコンテナ不足の影響をまともに受けているが、輸出事業者のグループがインド競争委員会(CCI)に対して、海運会社のカルテル行為について調査を開始するように申し立てている。コンテナ海運会社に対する競争当局等による同様な調査は、中国・ベトナム・台湾・韓国・米国・フィリピンでも既に開始されている。
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August 17, 2021, Splash247
4.米国:CCS技術開発・発電所等への導入に対し大幅予算支援措置
米国上院を先週通過した超党派のインフラ法案の中には、120億ドル以上の炭素回収貯留(CCS)技術開発のための直接的な支援が含まれている。これに対して、環境団体は、技術的に確立されていないCCSに多額な政府支援を行うより、インフラ法案では相対的に冷遇されている風力発電や太陽光発電など、技術的に確立された気候変動対策により多くの支援を行うべきだと主張している。インフラ法案の次の焦点となる予算法案の中でも、石油業界は同業界に既に与えられている技術開発に関する税額控除制度の拡充を図っている。また予算法案では、電力事業者へCO₂排出削減を義務付け、そのための手段として化石燃料を使用する発電所にCCSを設置する際の追加的な財政支援措置も盛り込まれる見込み。CCS技術は、発電やセメントなどのエネルギー多消費型産業にとって必要とされるだけでなく、多くの科学者や政策責任者は、既に大気中に存在するCO₂を大気から直接に回収するための技術としても有用であるとしている。
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August 17, 2021, Inside Climate News