国際海洋情報(2021年8月17日号)

1.米海軍の機動揚陸基地がナイジェリアに到着

8月7日、米国第6艦隊の機動揚陸基地USS Hershel “Woody” Williamsがナイジェリアのラゴスに到着し、ナイジェリアの海上哨戒艇とガーナのSpecial Boat Squadron(SBS)とともに、3日間の共同訓練を実施した。USS Hershel “Woody” Williamsの艦長は、ナイジェリア海軍の西部方面指令(WNC)と、ギニア湾の平和的な治安維持における役割分担について協議した。ナイジェリアはギニア湾沿岸国では最も大規模な海軍力を持ち、アフリカの治安維持と安定に重要な役割を果たしている。USS Hershel “Woody” Williamsは米国海軍アフリカ司令部に専属する最初の軍艦となる。

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August 7, 2021, 米海軍


2.英国政府:電力会社のグリーン料金表の正当性を調査へ

英国では、既に約900万個の家庭がグリーン電気料金表を選択し、特に新規契約については、半分以上の契約について電力会社は環境にやさしいグリーンな電力であることを宣伝しているが、現在の規制では、電力会社は供給する電力の一定割合について従来とおり化石燃料を利用して発電しても、グリーンな電力として宣伝することが可能で、greenwashing(見せかけのいい加減な環境対策)の懸念が指摘されている。こうした懸念を受けて、英国政府は、電力会社がグリーンとして宣伝している電力の発電の実態を精査し、グリーンと宣伝できる電力の基準を強化すると警告している。英国政府は電力事業者が消費者により透明性の高い情報を提供するようにするため、発電に用いられた再生可能エネルギーの種類(電力・風力など)、いつどこで当該再生可能電力が発電されたかなどについて情報開示を電力事業者に義務付けることを検討している。

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August 15, 2021, The Guardian


3.韓国公正貿易委員会がコンテナ船社への対応を来月にも決定

本年5月に、韓国公正貿易委員会は、現代商船(HMM)・高麗海運・長錦商船を含む船社に対し、船社の行為が公正貿易法に違反していると認定された際には、年間売上高の10%に相当する課徴金と最大8000億ウォン(約744億円)の罰金を支払う必要があると警告した。これに対し船社側は、船社間の価格設定行為は海上運送法に従って実施されており、多額の罰金が科されれば、経営破綻に陥る船社も出かねないと強く反発しており、与党も海上運送法に従って実施された行為については公正貿易法の適用除外とする法改正案を9月の国会に提出する予定。公正貿易委員会は今月中にも船社からの聴聞を実施したうえで、9月に全体委員会を開催して、船社に対し罰金を科すか決定する見込み。公正貿易委員会は、与党による法改正に対しても、価格カルテル行為を正式に認めるものとして反対している。

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August 17, 2021, Korean Herald


4.船上における炭素回収貯留技術の可能性

(論説)船上において回収されたCO₂を固化させるためには、他の化学物質と反応させたうえで、マイナス78℃で保管しなくてはならず、液化させるためにも、約マイナス50℃で保管する必要がある。陸上の炭素回収貯留(CCS)施設と比較して、船上においては、以上のように回収した炭素を液化・固化・貯蔵するための空間とエネルギーが限られている。例えば、液化した1トンのCO₂を貯蔵するためには、約1㎥のスペースの確保が必要で、どれだけのCO₂を回収・液化して貯蔵するか正確な予測を立てる必要がある。さらに、CO₂を固化・液化すればその分積載重量が増え、燃費が増えることも考慮に入れないといけない。昨年、三菱重工業が、船舶で使用するCCS装置について、船舶からのCO₂の排出量を9割減らし、回収したCO₂を新たな舶用燃料として利用する技術開発を開始した。具体的には三菱重工は東北電力の石炭運搬船に、現在陸上の発電施設で用いられているCCSを搭載して、2年間試験を行う予定である。

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August 13, Potter Clarkson