国際海洋情報(2021年8月13日号)

1.メタンの排出削減がCOP 26協議の重要事項の一つに

生産が終了した炭鉱・畜産・石油ガスの生産の副産物等として発生するメタンガスは、大気中に存続する期間は約9年とCO₂と比較して短いが、20年間という期間で見ると、CO₂の84倍という強力な温暖化効果を有し、地球温暖化に対し約1/4も貢献している。政府間気候変動パネル(IPCC)の第1作業部会が発表した報告書では、パリ協定に従い、地球の気温上昇を産業革命然と比較して1.5℃以内に抑制するためには、CO₂排出削減に加えて、「強固・迅速・持続的な」メタンガスの排出削減が必要であるとされており、今年初めに発表されたEnvironmental Research Lettersの研究によれば、「強固・迅速・持続的な」メタンガスの排出削減によって、地球温暖化の速度を3割削減し、今世紀末までの気温上昇の程度を0.5度引き下げることが可能とされている。さらに国際エネルギー機関によれば、既存の技術を活用すれば、石油・ガス業界はメタン排出量を75%削減することが可能であるとしている。

原文
August 11, 2021, Climate Home News

2.英国政府:航空の炭素中立化に戦略関する意見の公募を開始

8月14日、英国政府は航空の炭素中立化戦略について、意見の公募を開始した(意見提出期限は9月8日まで)。戦略の前提となる「証拠と分析」も開示されており、炭素中立化の手法として、①航空機の燃費効率の向上(2040年代半ばまでに新鋭機の投入により、40-50%の燃費削減。)②持続可能な航空燃料(既存燃料と比べて60%以上のCO₂排出削減が条件)の活用③水素や電力を燃料とするゼロエミッション航空機の導入(2035年を目途に短距離路線で実現)④英国排出量取引制度(ETS)の適用(国内およびEEA内)と国際線に対するCORSIAの実施⑤炭素回収貯留(CCS)技術の活用⑤航空輸送需要の抑制(気候変動委員会の提案では、2050年までの輸送量の増加を現状から25%以内に抑制)が提案されている。

原文

August 14, 2021, 英国政府


3.ReCAAP ISC:月間報告書(2021年7月)

ReCAAP ISCが発表した月間報告書によれば、7月にアジアで発生した武装強盗事件は5件で、2件がシンガポール海峡を航行中に、2件がマニラの南港錨泊地で錨泊中に、1件がインドネシアのバラワン錨泊地で錨泊中に発生した。乗組員に危害が加えられた事件は、マニラで錨泊中に発生した事件のうちの1件で、賊は当直中の船員に手作りの銃を向けて威嚇したうえで、捕縛して無線機を奪った。仲間の賊は新しいもやい綱を奪って逃走した。その他の4件の事故は、乗組員に実害がなかった。公海上の海賊事件は期間中に発生しなかった。1月から7月までの累計の事件数は43件で、前年同期(63件)比、32%の減少となった。

原文

August, 2021, ReCAAP ISC


4.中国とロシアが5日間の共同軍事演習を終了

8月13日、中国人民解放軍とロシア軍は中国北西部で5日間の日程で実施していた共同軍事演習を終了した。演習は戦略面だけではなく、戦術・技術レベルでも、中国とロシアが連携して、テロリズムや米国のような国が引き起こす世界的な挑戦に対して、地域的な安全保障を共同で担保できることを示した。共同演習には、両軍から1万人以上が参加し、中国人民解放軍空軍から、4機のJ-20ステルス戦闘機、2機のJH-7戦闘爆撃機、Y-20大型輸送機、H-6爆撃機、J-11/J-16戦闘機、ロシア空軍からはSu-30SM戦闘機などが参加した。この演習には両国から国防大臣が参加し、演習の視察に加えて、協議を実施し、協力文書に調印した。

原文

August 13, 2021, Global Times