国際海洋情報(2021年8月12日号)

1.米上院:米国製洋上風力発電設備の促進に関する税額控除法案が提案

洋上風力発電事業に関する海洋のリース案件が増加する中で、洋上風力発電設備を米国内で製造するのを促進するために、特定の洋上風力発電の設備と洋上風力発電施設建設用船舶に関する投資/製造税額控除(Tax Credit: TC)制度を盛り込んだ「洋上風力米国生産法」が米国上院に提案された。具体的には、洋上風力発電設備の部品を製造する設備に対して、資本コストを軽減するため30%のTCを認める。投資に対するTCに加えて、発電量に応じた発電TCも併せて創設する。

原文
August 12, 2021, Offshore Wind Biz

2.IPCC第6次評価書(第3作業部会報告書)の内容

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価書は3分冊に分かれ、第1分冊の気候変動に関する物理的な科学に関する作業部会報告書は、8月9日に発表されたばかりだが、来年の3月に発表される予定で、現在検討中の「気候変動に対する人類の影響を減殺する方法」に関する第3分冊の科学者たちによる案文が、科学者版のExtinction RebellionといえるScientist Rebellionによって、各国政府が科学的提言が骨抜きにするのを恐れてリークされた。リークされた案文の概要は以下のとおり。①世界の富裕層の上位10%が、世界全体のGHG排出量の36-45%の排出に寄与しており、一方で、最も貧しい下位10%は、5%しか排出に寄与していない。②例えば、上位1%の人が、航空から排出されるGHGの50%に寄与している。③GHG排出量の削減には、富裕層の行動変容が必要で、家庭の過剰な冷暖房の使用の削減、徒歩やサイクリングの活用、航空機による移動の削減、エネルギーを多量に消費する製品の利用削減などに取り組むべき。④富裕層の食習慣も変える必要があり、肉食を減らして、植物性タンパクを多くとれば、西洋風の伝統的な食習慣に比べて、GHG排出量を最大で50%削減したうえで、健康にも良い。

原文

August 12, 2021, The Guardian


3.太平洋島嶼国にとっても山火事の被害の克服が課題

米国北西岸をはじめとする世界のいたるところで、山火事が発生して、気候変動と干ばつによる危険性は着目されているが、太平洋の高温多湿の島嶼国における比較的小規模な山火事の発生件数も増加傾向にあり、島嶼国の住民にとって死活的かつ限定的な自然資源に悪影響を及ぼす生態系の損害の循環が発生している。人々が太平洋の島に住む前には、火事がほとんどなかったので、植生や固有の生態系は山火事への適応力がなく、いったん山火事が発生すると生態系が大混乱し、山火事が発生した場所だけではなく、山頂から海底までの環境に悪影響を及ぼしている。山火事が発生した後に、大量の雨が降るとその表土が簡単に海に流れ込み、海洋生態系やサンゴ礁に大きな影響を与える。島嶼国のサンゴ礁は地元住民の食生活を支え、嵐の際の防波堤の役割を果たし、島嶼国が大きく依存する観光収入の源にもなっており、サンゴ礁が損害を受ける影響は広範に及ぶ。

原文

August 13, 2021, AP


4.米運輸省:Greenフェリー促進のために400万ドルの補助制度

旅客フェリーは米国において通勤・通学・通院のための重要な公共輸送手段として機能しているが、米国運輸省Federal Transit Administration(FTA)は旅客フェリー補助制度全体の3800万ドルの中から、旅客フェリーをよりクリーンでエネルギー効率の良いサービスとするために、400万ドルについて、低/ゼロエミッションフェリーまたはバッテリー/燃料電池を使用するフェリーとその支援インフラを整備するための補助金とすると発表した。

原文

August 9, 2021, ship.energy


国内ニュース

1.CRIMSON POLARIS号 座礁および油濁発生の件(第3・4報)
原文

8月12日、日本郵船

原文

8月13日、日本郵船

原文

8月13日、Mooktie Media