国際海洋情報(2021年8月10日号)

1.米下院に「外航海運改革法案2021」が超党派で提出される

8月10日、米国の農産物輸出業界の要請を受けて、米下院に「外航海運改革法案2021」が超党派で提出された。この法案は荷主の立場を強化するための最低限の条件を輸送契約に盛り込むことを義務付けるとともに、連邦海事委員会(FMC)の取り締まり権限の大幅強化を図るもの。提案した議員は、「法案の目的は第1に、正当な理由のない貨物の引き受け拒否を禁止すること。第2に、(申し立てを待たずに)FMCが独自の権限として、調査を開始することを可能にすること。第3に、船社による荷主への報復から荷主を守り、取り扱いの正当性に関する立証責任を荷主から海運会社に移転すること。第4に、海上輸送の透明化を担保するため(FMCから)四半期ごとに議会に状況報告を求めることである。」とコメントしている。コンテナ海運会社の業界団体である「世界海運協議会(WSC)」は、現在の海運をめぐる混雑状況が生じたのは海運会社だけの責任ではなく、法案は海運会社に対して不公正であると反論している。

原文
August 11, 2021, Splash 247

2.米上院:3.5兆ドルの予算を民主党だけで承認するための予算決議を可決

米上院は、8月10日、総額1兆ドルのインフラ整備法案を超党派で承認したばかりだが、11日早朝、米上院は今年後半に共和党の協力なしで、3.5兆ドルの規模の大型予算を民主党だけで可決するために必要な予算決議を50対49で可決した。(通常は共和党の協力を得て60票獲得しないと上院を通過しない。)この予算決議によって、上院民主党内で造反がなければ、50票で早ければ9月末にも予算案を上院通過させることができる。米下院は現在休会中だが、8月23日に再開して、上院で承認された予算決議について審議する予定。

原文

August 11, 2021, The Hill


3.UNECE:原子力発電抜きでは炭素中立を達成できず

原子力は低炭素燃料で、過去50年間で、全世界でエネルギー関連で排出されるCO₂総量の2年分に相当する74GtのCO₂排出を節約した。同期間で、原子力以上にエネルギー分野でCO₂排出削減に貢献できたのは水力発電だけだった。国連欧州経済委員会(UNECE)が現在所管する欧州・ロシア・北米諸国などの地域における発電総量の半分以上が化石燃料によって、約20%が原子力によって供給されている。UNECEが8月11日発表した原子力に関する技術的なブリーフ資料によれば、世界の発電事業やエネルギー多消費型産業にとって、パリ協定やSDGsの目標を達成し、脱炭素化を進めるためには、持続可能な低/ゼロ炭素技術に加えて、原子力の活用が重要であることが分かった。2018年に政府間気候変動パネル(IPCC)が発表した地球の温暖化を1.5℃以内に抑制するためのシナリオでは、2050年までに原子力発電を2.5倍に拡大する必要があるとされており、さらに、社会・経済・技術的な傾向が継続し、国民の食習慣や移動パターンが変更しない「道半ばmiddle of the road」シナリオでは、2050年までに原子力発電は6倍に拡大し、世界のエネルギー供給の1/4を占めるとされている。

原文

August 11, 2021, UNECE


国内ニュース

1.豪州グリーンアンモニア事業サプライチェーン構築の共同検討に関する覚書を締結
原文

8月11日、商船三井