国際海洋情報(2021年8月4日号)

1.独:中国政府にフリーゲート艦の上海寄港許可を要請

独首相は、中国の南シナ海の領有や人権問題について、批判のトーンを高めてきたが、政権交代直前の時期に、2002年以来となる独軍艦をインド・太平洋に派遣することを決定し、8月2日、フリーゲート艦が独から出発した。同艦は、豪・グアム・日本・韓国・ベトナム・シンガポールに帰港する予定で、帰途には南シナ海も横断する予定だが、領有権が争われている島の領海を自由通行する予定はない。英国のチャタムハウスは独政府が中国政府に対し、同艦が上海に寄港することを要請していることをすっぱ抜いたが、中国政府は独政府から要請を受けたことは確認したものの、独軍艦が南シナ海で航行する意図について独政府から説明を受けるまでは、同艦の上海寄港を検討しないと同国外交部はコメントした。独防衛大臣は上海寄港の要請を出したのは、中国政府との関係を維持するためと説明している。

原文

August 3, 2021, South China Morning Post


2.インドネシアにUAEの資金で大規模浮体式太陽光発電施設を建設

インドネシア政府は、2025年までに全エネルギーの23%を再生可能エネルギーから生産する目標を立てており、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の試算では、この目標が達成されれば、大気汚染の削減や気候変動の抑制といった外部経済効果も含めて、年間517億ドルの節約が可能となる。そこでUAEの世界的な再生可能エネルギー開発投資会社であるアブダビ未来エネルギー会社(Masdar)が投資して、西ジャワ州のCirata湖に6200haの浮体式太陽光発電所をUAEとインドネシアの合弁企業が建設し、145メガワットを発電して5万戸の家庭に電気を供給するとともに、21.4万トンの炭素をオフセットする計画が発表された。既に計画のfinancial close(融資のための条件が整って実際に融資が実施されること)が達成され、順調にいけば2022年第4半期から発電が開始される予定。

原文

August 6, 2021, The Asset


3.ギリシャ山火事:同国第2のエヴィア島から2千人以上の住民がフェリーで退避

ギリシャでは過去30年間で最悪の熱波に襲われており、同国内のいたるところで山火事が発生しているが、クレタ島に次ぐギリシャ第2のエヴィア島の複数の地点で、高温と強風によって急速に拡大している山火事は収拾がつかない状況で、3日に島の北部で火災が発生して以来、フェリーで2000人以上の住民が同島から退避をしている。同国からの救援要請を受けて、英国からの消防救援隊は8日にギリシャに到着する予定。仏・独・エジプト・スイス・スペインも救援隊と救援物資を送っており、同島では合計570人以上の消防士が消火作業に当たっている。山火事の原因は調査中だが、6日に3人が逮捕され、うち2件は故意による放火とされている。山火事は、同国以外でも、スペイン・イタリア・バルカン諸国・トルコなどの南欧諸国、シベリア、米国のカリフォルニア州など世界中で猛威を振るっている。

原文

August 9, 2021, Independent