国際海洋情報(2021年7月30日号)

1.オマーン湾でハイジャックされたタンカーから賊が離れる

8月3日の夜、UKMTO(英国海軍海事交易オペレーション)は、オマーン湾のUAE沿岸でタンカーがハイジャックされた可能性があると警報を発したが、ロイズリストによれば、ハイジャックされたのは、パナマ籍のアスファルトタンカーで、ハイジャック後イランのジャースクに向かって航行していたが、その後、転針してオマーン方向に向かっていた。英国海軍筋は、8月4日、ハイジャック犯は同船を離れて事件は終結し、タンカーは安全な状況に置かれていると発表した。犯人のアイデンティティは不明だが、イランの外務大臣は同国は関与していないと直ちにコメントを出した。このハイジャック事件が進行している最中にフジャイラ沖の6隻のタンカーからほぼ同時にAIS経由で推進力を失ったという情報が発せられている。米国第5艦隊・英国防省・UAE政府はマスコミの取材に応じていない。

原文

August 3, 2021, abc News


2.欧州:「沿岸警備隊の活動に関する欧州の協力に関する実践ハンドブック」

欧州海事保安庁(EMSA)/欧州漁業管理庁(EFCA)/欧州国境・沿岸警備庁(Frontex)がEU/EFTA加盟国と連携して、捜索救難・海上安全・国境管理・漁業管理・税関活動・法執行・環境保護などの沿岸警備隊が実施する活動について協力するための実践的なガイドブックを作成し、欧州委員会が承認を与えた。ガイドブックには、3機関が提供するサービス、連携の枠組み、ベストプラクティスガイドライン、EU/EFTA各加盟国の沿岸警備業務を実施する組織に関する情報が掲載されている。今年後半には、3機関と欧州委員会によってオンラインプラットフォームが立ち上げられ、各加盟国から提供された情報がプラットフォーム上で共有されることとなる。

原文

July 23, 2021, EMSA


3.独海軍フリーゲート艦が約20年ぶりに南シナ海のパトロールに出発

独海軍は、中国の領土的野心に対処するために、他の西欧諸国と協力して抑止力としての存在感を示すために、8月2日、ほぼ20年ぶりに南シナ海に海軍のフリーゲート艦を出発させた。米海軍は、中国が主権を主張する海域で、定期的に「航行の自由作戦」を実施し、これに対し、中国は米国が地域の安定を損なっていると批判を繰り返しているが、独海軍のフリーゲート艦は航行の自由作戦は実施せず、通常の商船の航路を運航し、台湾海峡も通航する予定はない。中国は独にとって最も重要な貿易相手国であり、中国に対する輸出によって、パンデミックによる経済的ダメージを緩和しているという背景があり、安全保障と経済関係の間で微妙な棲み分けを行う必要がある。独フリーゲート艦は、7か月の航海の間に、豪・日・韓・ベトナムに寄港する予定。

原文

August 3, 2021, Reuters


4.IBIA:FuelEU Maritime/舶用燃料課税に対する見解

国際舶用燃料産業協会(IBIA)がEUのFuel EU Maritime/ EU ETS/舶用燃料課税を含むFit for 55パッケージについて、8月2日、見解を表明したところその概要は以下のとおり。①これまで世界的に外航用の燃料は非課税扱いになってきたが、EUはエネルギー課税指令を改正して、2023年より航空機・船舶の燃料に課税することとなり、重油1トン当たり38ユーロ(約4900円)が増税となり、EEAの港湾におけるバンカー供給の競争力が損なわれる。②FuelEU Maritimeによれば、非化石代替燃料について生産から消費までの全過程にわたるGHG排出総量を海運会社と燃料供給会社双方が証明しなくてはいけないこととなった。海運会社にとっては、既存のMRV規則に基づく年間CO₂排出量の報告義務の範囲を拡張するものとなることに加え、燃料供給会社は「井戸からタンクまで」の燃料の生産輸送過程で発生したCO₂の総排出量を燃料油供給記録(BDNs)に記載する必要があるが、非化石代替燃料もブレンドして販売されることが予想され、大変複雑な計算をしなくてはいけないことになる。

原文

August 2, 2021, IBIA


国内ニュース

1.川崎重工・ヤンマー・Japan Energy: 舶用水素燃料機関を共同開発
原文

8月2日、川崎重工業


2.川崎汽船・中部電力がカナダで潮力発電を共同開発契約
原文

8月4日、川崎汽船