国際海洋情報(2021年7月27日号)

1.イスラエル:オマーン沖で発生したタンカー攻撃事故に関しイランを非難

7月29日、イスラエルのZodiac Marine社が運航し日本船主が保有するリベリア籍の製品タンカーがオマーンのドクム港北東152海里の沖でドローンによる攻撃を受けて、英国人とルーマニア人の船員が1名ずつ死亡した事故に関し、30日、イスラエル外相はイランを非難し相応の報いを受けるだろうと発言した。イスラエルとイランは同海域でお互いの船舶に対して、攻撃を繰り返してきたが、死者が出たのは初めて。イラン政府のTVは、今回の攻撃はイスラエルによるシリアのダルアー空港に対する攻撃の報復として実施されたと報道している。同外相は英外相に対し、断固たる反撃をする必要があると申し入れた。イラン政府は犯行声明を出していないが、イスラエルのメディアによれば、攻撃は2回に分かれて実施され、2回目の攻撃で船橋が攻撃され2名の船員が死亡した。攻撃を受けたタンカーは米国海軍の護衛を受けて、自力航行中であるとZodiac社は発表している。

原文

July 30, 2021, Reuters


2.欧州委員会:「インフラ事業の気候適正」に関する新技術ガイダンスを発表

7月29日、欧州委員会は2021年から2027年までを対象期間とする「インフラ事業の気候適正(climate-proofing)」に関する新たな技術ガイダンスを発表した。このガイダンスは、建物・道路・鉄道などに関するすべてのインフラ事業が、気候変動の影響を合理的に考慮に入れて建設されることを支援し、欧州の公的・民間部門の投資家は投資対象の事業がパリ協定やEUの炭素中立目標に沿って計画されているかといった正確な情報を得たうえで適切な投資を実施することが可能となる。気候変動に伴い、耐用年数の長い鉄道や橋梁といったインフラは既に影響を受けているが、今後これらのインフラに対する影響はさらに厳しく表れるものと考えられる。例えば、鉄道の軌道の気温上昇に対する耐性も、これまで観測された最高気温ではなくて、今後予測される最も高い最高気温に合わせて検討されなくてはならない。したがって、今後のインフラは、CO₂を発生しないという炭素中立だけではなく、今後の気候変動に耐えられる気候変動耐性を備えたものでなくてはならない。

原文

July 29, 2021, 欧州委員会


3.MPA:「海事脱炭素化世界センター」の運営を開始

シンガポール政府は「海事脱炭素化国際助言パネル」の答申を受けて、4月に開催されたシンガポール海事週間の際に、「海事脱炭素化世界センター(GCMD)」を創設することを発表しているが、シンガポール海事港湾庁(MPA)と6の創設メンバー(BHP/BW Group/Eastern Pacific Shipping/Det Norske Veritas基金/ONE/Sembcorp Marine)が1200万星ドル(約9.7億円)を拠出して、8月1日よりGCMDを開設するとMPAは7月29日発表した。GCMDは関連業界と連携して、海運事業者がGHGを削減するのを支援し、脱炭素化のために必要な措置を実行し、新たな事業機会を創設することを目的とする。創設メンバー以外にも、31の海運企業・船級協会・研究所・燃料供給事業者・エネルギー事業者・ターミナル/貯蔵タンクオペレーターなどからGCMDと連携したいという申し出を既に受けている。

原文

July 29, 2021, MPA


4.シシリア・トルコのエーゲ海側で山火事が猛威

イタリアのシシリア島東岸のカターニアでは、約150名の観光客と住民が山火事に取り囲まれて海岸に孤立し、7月30日の夜に、沿岸警備隊のボートで海から救出された。トルコのエーゲ海に面したリゾート地であるポドルムでは、リゾートホテルの近くまで山火事が迫ったため、避難を命じられた観光客が海からの救出を待つため、海岸でパニック状態になった。沿岸警備隊は警備隊だけでは全部の観光客を退避させることができなかったので、民間のボートやヨットに救出に協力するよう呼びかけた。トルコの健康大臣は、山火事で2名の森林作業員が死亡し、31日までに合計6名が死亡したと発表した。トルコでは、28日から山火事が続き、山林や一部の居住地を焼失し、村落や観光地にも迫っているため、多くの人々が退避を余儀なくされている。

原文

July 31, 2021, Euronews


国内ニュース

1.千代田化工・三菱商事がロッテルダム港等と液化水素キャリア開発に関し覚書締結
原文

7月30日、千代田化工建設


2.伊藤忠:舶用アンモニア燃料に関する協議会のメンバーを拡大
原文

7月29日、伊藤忠商事