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国際海洋情報(2021年7月20日号)

1.中国がEUの炭素国境調整制度に対し反対を表明

今月、欧州委員会が提案した炭素国境調整制度(CBAM)は、2026年から鉄鋼のような炭素多消費型の製品に対して課される予定であるが、WTOの規則に抵触する可能性があり、EUの貿易相手国から見れば問題の多い制度といえる。中国の生態環境部の広報官は、「CBAMは気候変動対策を一方的に貿易関係に持ち込むもので、WTOの規則に反し、二国間の信頼関係を損ない、中国の経済成長に悪影響を与える。各国の気候変動に対する対応は、それぞれの国の経済の発展度を勘案するべきで、CBAMは気候変動問題に取り組む各国の意欲と能力を損なうものである。」と非難した。清華大学の産業発展・環境統治センターが、5月に発表した報告書によれば、鉄鋼やセメントなどの原材料の世界最大の生産国として、中国はCBAMの影響を最も受ける可能性があると指摘しているが、中国からEUへのCBAM対象製品の輸出はわずかで、むしろ電力・アルミニウム・肥料などをEUに大量に輸出しているロシアの方が打撃を受けるという見方もある。

原文

July 26, 2021, Reuters


2.山火事から放出されたGHGの量がパンデミックによるGHG削減効果を減殺

気候変動によって、気温が上昇し、空気がより乾燥することによって、山火事が頻繁かつ大規模になり、その山火事から放出されるGHGによってさらに温暖化が加速されるという悪循環が発生している。この悪循環は、今後数十年の間、世界のいたるところで発生するため、山火事による直接的な被害ばかりではなく、気候変動のためのGHG削減努力にも大きな悪影響を与えることになる。具体的には、カリフォルニア州・アイダホ州・オレゴン州・ワシントン州では、昨年パンデミックの影響で、6900万トンCO₂排出量が削減されたが、EUのコペルニクス大気モニターサービスによれば、わずか7月1日から25日の間だけで、上記の州で発生した山火事によって約4100万トンのCO₂排出が観測された。

原文

July 27, 2021, MIT Technology Review


3.51か国の気候問題担当大臣がロンドンで非公式協議

先週ナポリで開催されたG20環境大臣会合を受けて、先週末ロンドンで51か国の気候問題担当閣僚等が非公式会合を開催した。主要参加国は、米・印・中などの大国以外に、最も気候変動の影響を受けるルワンダ・コスタリカ・マーシャル諸島などの国々の代表も参加した。対面の協議が開催されたのは、2019年にマドリッドで開催されたCOP 25以来で、とても生産的な会合であったと国連気候変動枠組条約事務局長は語った。議長を務めた英国の環境大臣は2日間の協議で多くの点で進展があったものの、石炭火力発電所の撤廃問題などいくつかの点で大きな相違が残ったのは残念であったと総括した。一方、先進国が途上国の気候変動対策に対して資金援助を実施するclimate financeについては進展があり、2009年に先進国が約束したように1000億ドルが途上国に供与されることが確認された。

原文

July 27, 2021, BBC


4.世界のコンテナターミナルの処理能力の拡大が輸送需要の拡大に追い付かず

Drewry社が、Global Container Terminal Operators Annual Review and Forecastを発表したところその概要は以下のとおり。①世界のコンテナ港湾の処理能力は2025年まで年平均2.5%拡大し、13億teuになる見込み。②一方、世界のコンテナ輸送量は年間平均5%拡大する見込みなので、コンテナターミナルの平均利用率は現在の67%から75%に上昇する見込み。③コンテナ処理能力の拡大は既存のターミナルの能力拡充が大部分で、大多数の世界的なコンテナターミナルオペレーターにとって、新たなコンテナターミナルの建設は依然として優先順位が低い。④同様に、既存のターミナルの自動化の動きは増えているが、自動ターミナルの新設の動きは少ない。⑤ターミナルオペレターは、ターミナルのデジタル化に対する投資を進めることによって、コンテナ処理能力の迅速化を進めている。

原文

July 27, 2021, Hellenic Shipping News


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