国際海洋情報(2021年7月14日号)

1.独首相:洪水被害を受けて地球温暖化対策により迅速に取り組む必要性を強調

独のメルケル首相は、先週の記録的な豪雨で最も被害を受けた独西部の地域を訪れ、近年このような異常気象が発生する頻度が増えており、気候変動対策に取り組む速度をさらに上げる必要があると語った。先週の豪雨により、独・ベルギーなどの諸国では最低184名の死者を出し、独国鉄は、豪雨によって80以上の駅舎と600km以上の軌道が被災したと発表した。独財務相は最低3億ユーロ(約387億円)の財政支援を被災地に対して実施すると18日表明した。

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July 18, 2021, The Guardian


2.CDCとフロリダ州の間で混迷を深める米フロリダ州のクルーズ再開

米国疾病対策予防センター(CDC)は安全と健康を担保する方法の手続きについて、クルーズ業界と長い協議を行った末、「95%の乗客とほぼすべての乗員がワクチン接種を受けていることが確認されれば、simulated voyagesの手続きを省略して、商業運航を迅速に再開できる。」という内容で妥協し、5月からいくつかのクルーズ事業の再開を認めていた。一方、CDCと対立するフロリダ州は、州法でクルーズ事業者が乗客に対してワクチン接種証明書の提示を求めることを禁止しているため、折角CDCと妥協案に合意していたクルーズ業界は州法のせいで、CDCの条件をクリアできないため、Norwegian Cruise Lineは同州に対して、「安全で健全なクルーズ営業の再開」を妨げているとして提訴した。フロリダの地方裁判所判事は、フロリダ州の見解を支持して、CDCの規制は法的な拘束力のない勧告にすぎないと判示したが、控訴審では2:1で地方裁判所の判断が保留され、CDCが引き続き同州内で規制を実施することを認めた。

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July 18, 2021, gCaptain


3.世界サンゴ礁研究開発促進プラットフォームが発足

G20首脳会合で、世界サンゴ礁研究開発促進プラットフォームの創設が合意されたのを受けて、6月に11か国が議長国のサウジアラビアに集まって、創立総会が開催された。米国からは海洋大気庁(NOAA)の「サンゴ礁保全プログラム」が参加し、副議長に選出された。サンゴ礁の生態系は、海洋生物の総数の1/4から構成され、観光資源となるばかりでなく、海の緩衝地域として、海岸を高潮や高波から防御している。しかし、浅海と深海にあるサンゴ礁は両方とも、気候変動・漁業・海洋汚染などの脅威にさらされている。同プラットフォームの活動としては、既存の各国・各地域・国際的な研究開発計画の連携を促進し、民間部門の支援を促し、途上国の研究者たちに先進的な研究開発訓練を実施し、世界全体の科学的な情報や研究試験施設の利用を促すことを目的としている。

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July 19, 2021, Safety4Sea


4.米議会:コンテナ海運業界規制強化へ海運法の改正を検討へ

ホワイトハウスは10日前に、競争を促進するための大統領令を発し、連邦海事委員会(FMC)に対し、超過保管料と返却延滞料を含む海運会社による不公正で不当な課金から、米国の輸出事業者を守るためにすべての可能な手段を用いるように指示した。ホワイトハウスは先月も、商務・運輸・農務各長官が主導して、サプライチェーンのあらゆるボトルネックを発見し、解決策を探すための「サプライチェーン混乱タスクフォース」を創設すると発表した。8月には議会でも海運の問題が討議される予定で、運輸・インフラ委員会の2議員が超党派で、海運法の改正を提案する予定。この改正法案は米国の農産物輸出事業者の不満を反映したもので、海運会社が米国からの輸出貨物の引き受けを拒否することを禁じ、海運会社に対して海運法を順守することを宣言させ、米国の輸出事業者を海運会社から守るためにFMCの権限を強化することを内容としており、8月に同委員会で採決される予定。

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July 19, 2021, Splash 247


国内ニュース

1.CCR研究会:カーボンリサイクルメタンがゼロエミッション燃料となることを確認
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7月19日、商船三井