国際海洋情報(2021年7月7日号)

1.米国の港湾管理者等が米政府に対して200億ドルの脱炭素投資を要望

米国の港湾管理者・業界団体・環境団体など15組織は連名で、運輸省・エネルギー省・環境保護省などに対して、米国の海運・港湾部門の脱炭素化を進めるため、研究開発・港湾インフラの整備・米国籍船への金融支援などに、最低200億ドルの予算を組むよう要望書を提出した。具体的には、ゼロ炭素燃料とその燃料を使用する船舶の技術開発のために30億ドル、10億ドルをゼロエミッション船舶の建造・改修のために予算化するよう求めている。同書簡によれば、世界の海運活動により、米国内のすべての石炭発電所から排出されるCO₂の合計量より多い、世界の排出総量の3%に当たるGHGが排出されているが、米国の港湾は世界の海運活動の拠点として、率先して海運ゼロ炭素化への転換を進める必要があるとしている。米国の港湾を利用する海運活動によって、年間5.4兆ドルの経済効果と、3100万人の米国人の雇用を支えている。

原文

July 6, 2021, Offshore Energy Biz


2.IMO/PEMSEA:アジア地域における海運脱炭素化支援事業を開始

IMOとPEMSEA(東アジア海域環境管理パートナーシップ)は、独のInternational Climate Initiative (IKI)の資金供与を得て、東アジア・東南アジアの諸国が各国のNDCsに従って、海上輸送からのCO₂排出を防止・削減するための技術協力事業であるBlue Solution Project の準備段階の会合を6月28日開催した。準備段階においては、カンボジア・中国・インドネシア・フィリピン・タイ・ベトナムと、港湾・船舶・港湾までの陸上輸送に焦点を当てて、海運分野からのGHGや他の大気汚染物質を削減することを目的として、総額で1500万ユーロ(約20億円)の資金支援について協議を実施する予定。このアジア地域における事業は、情報の共有を通じた連携の促進を図るが、戦略的knowledge partnerである日本・韓国・シンガポールとの協議も行う。また、金融機関を含む他の投資家が追加的・共同投資を実施することを仲介することも目的としている。

原文

July 1, 2021, IMO


3.再生可能エネへの投資促進で1000万人の新規雇用が創出

欧州気候基金(European Climate Foundation)がEY-Patheonに調査を依頼し、7月7日に発表した、今後の再生可能エネルギー投資が世界経済に与える影響を分析した報告書の概要は以下のとおり。①現在世界の約50か国で、英国の洋上風力発電事業やベトナムの浮体式太陽光発電所事業など、約1.3万件の事業が約2兆ドルの投資を必要としており、これらの事業が実施されれば、世界で最大1000万人の新規雇用が創出される。②もし今回特定された事業が3年以内に実施されれば、世界の再生可能エネルギーの増加率を2倍に早めることが可能で、G20諸国を含む今回の調査の対象となった47か国が2030年までに削減することを目標としているCO₂排出量の22%を削減することができる。③さらに、この削減量は、地球の気温上昇を1.5℃以内に抑えるために、2030年までに地球全体で必要なCO₂削減量の9%に相当する。④以上の事業が実施されて新たな雇用が最も増える国としては、中国が200万人で、米国が180万人となる見込み。⑤さらに、新たな洋上/陸上の風力発電・太陽光/水力発電事業によって、印・豪・伯・英・加においても大規模な雇用人口の増加が見込まれる。

原文

July 7, 2021, Reuters


4.世界各地の北半球の高緯度地域が同時に歴史的熱波に襲われる

先週末には、地域の気象台の発表によれば、スカンジナビア半島北部のいくつかの都市では、史上最高の気温を記録した。同時に、欧州のコペルニクス衛星の観測によれば、ロシア東部・米国西部とカナダのブリティシュ・コロンビア州からは、大規模な山火事による大量の煙と熱が観測された。北極圏の各町村でも記録的な高温を記録し、フィンランドのラップランドでは1914年以来、観測史上2番目の34.5℃を記録し、山火事の大規模発生のリスクにさらされている。高温と干ばつは大規模な山火事を発生し、ロシアのサハ共和国や極東連邦地域では、大規模な山火事が発生した過去2年間と同じ状況が6月に観測されている。米国西部とカナダでも深刻な干ばつにより、大規模な山火事が発生し、アリゾナ州では6月全体で山火事から発生した煙による大気汚染に見舞われた。

原文

July 6, 2021, Business Shala


国内ニュース

1.川崎重工がLPG輸送船の製造を中国に移管。国内は液化水素輸送船等に集中。
原文

    7月7日、日本経済新聞